髪型はまわりの人に喜ばれてこそ!イヤなことは伝えて


NNAO:その他、要望はありますか? 

大草:末娘のマヤに泣かれない髪型でお願いします(笑)。以前短く切ったときに泣かれたことがあって。

NNAO:その視点、とても大切です。髪型ってご自身と美容師のふたりが満足するだけじゃだめだと思っているんです。周囲の人にも喜ばれてこそ、切ってよかったと思えるもの。僕は美容師を料理人だと思っていて。髪は食材、ご本人とまわりにいて髪型を見る人たちが料理を食べるお客様。食材の状態を見て、みんながおいしいと思うものを作るのが僕の務め。そして僕は苦手な食材や要望を聞いてお任せで作る料理人です。だから最初の相談はしっかり行います。

大草:へえ! 面白い! 確かに周りの人にも喜んでもらえるのは大切ですね。イメージや目指す方向の共有って簡単ではないと思うのですが、伝えるコツはありますか? 

NNAO:NGやイヤなこと、上限などを伝えるのがいいと思います。たとえばですが、「これ以上は短くしたくない」「カラーリングで赤みが強いものは避けたい」、大草さんのように「娘に泣かれたくない」というのもとてもいいヒントになりました。

大草:なるほど。イヤなことを伝えるという発想はなかったので、新鮮です。

NNAO:美容師と相談するときは、嫌なことでもイメージでもいいのですが、方向性は示さないと、結局誰に切っても満足いく形にはならないと思います。

大草:ヘアカタログを見て、このサロンのこの美容師さんのこの髪型を目掛けていく時代もありましたが、今はヘアスタイルが持つ空気感やフィーリングが好きかどうかが選ぶポイントになってきていますよね。NNAOさんがおっしゃるように、イヤなことも含めて、じっくりなりたいイメージをカウンセリングできることが満足できる髪型への第一歩ですね。

大草ディレクターとNNAOさんとの間でいくつかイメージ画像のやり取りが行われた中で、最終的に共有したイメージがこちら。この雰囲気を取り入れつつ、大草ディレクターの髪質やライフスタイル、ファッションに合うスタイルをNNAOさんが模索しました。

NNAO:あと職業やライフスタイルは伝えたほうがいい。営業されている方とファッションに携わるお仕事をされている方では、同じくショートヘアにするにしても、まったくデザインが変わってきます。本人の髪質や顔立ちに似合うことももちろんですが、ライフスタイルに似合っていることも重要です。そこを間違えると、切った後に周囲の人から『どこで切られちゃったの?』と聞かれるんですよ。『切ってもらったの?』じゃなくて『切られちゃったの?』って。

 

大草:(笑)。以前は職業のイメージで、モードに雰囲気に切られちゃったことがありました。こう見えて、根はコンサバなんです。

NNAO:わかってますよ。あとはライフスタイルや着たいファッションにも似合うことも大切ですよね。モードになるのもシャープな感じも違うかな。

大草:そうね。さっきも言ったけど、ニュアンスがある少し柔らかさのあるスタイルが気分なんです。

NNAO:大草さんの要望をまとめると

① 10年から変化がなかったヘアスタイルを変えたい
② 急いでいるときにハーフアップできるくらいの前髪の長さは欲しい
③ 娘に泣かれない髪型にしたい
④ 今のファッションの気分“フェミニン”に合うニュアンスのあるスタイルにしたい

ですね。

大草:そう! 切ってもらうのが楽しみ!