「アメリカの魂を取り戻す」バイデン氏の表現する「海王星」のエネルギー

2020年のアメリカでは、コロナ禍のみならずBLM(黒人の命を大切に)運動が国中で広まりました。そんな中トランプ大統領の排外的・差別的な言動を批判し続け、「アメリカの魂を取り戻す」をスローガンにしたバイデン氏。占星術的には、今年バイデン氏を取り巻く「海王星」のエネルギーに注目すると納得できる点があります。

※編集部注：海王星は外惑星の一つで、いったんあらゆる「境界線をなくす」作用を持っていると考えられています。境界線をなくした後で更なる高次のスローガンでワンネスの意識を持たせます。差別撤廃という理想、スローガン、音楽、新しいビジョン、アルコール、宗教、麻酔など今ある規定や境界線からはみ出たものの痛みや不自由を取り払い、ワンネスのイマジネーションを刺激する力と働きがあります。

今年から来年にかけて、現在魚座に入って力を増している海王星がバイデン氏の出生図のMC軸と接触しています。MC軸とは「公的な役割と活動」を示すので、バイデン氏の政治活動を表す重要な領域です。海王星がMC軸と接触している現在、バイデン氏は「海王星のエネルギー」を公的に表現していると言えます。

海王星の現れ方は様々ですが、「理想像」「共感」「魂に関する事柄」等が代表的です。バイデン氏の掲げる「アメリカの魂を取り戻す」「アメリカを癒やす」「分断ではなく結束を」という理想は人権、平等、環境保護等の道徳的な規範に基づくもので、まさしく海王星のエネルギーの表現と言えます。

ただし、あらゆる天体の可能性にはポジティブな表現の裏側としてのネガティブな側面も存在します。海王星のネガティブな表現は「虚像」「虚偽・混迷」「現実との乖離」などがあります。バイデン氏の選挙活動中に持ち上がったスキャンダル疑惑や認知症疑惑は、その真偽はともかく、海王星的な表現と考えることができます。

海王星のエネルギーは「優しさ・共感」を示すと同時に「弱さ」と捉えられやすいものでもあります。対中強硬路線を取ったトランプ大統領は「バイデンが勝ったら中国が全てを制するだろう」と明言しています。
 

カマラ・ハリス氏のホロスコープが象徴する爆発的な勢い

カマラ・ハリス氏は米国初の黒人・インド系女性副大統領となります。海王星の象徴する理想と脆さを兼ね合わせたように見えるバイデン氏とは対照的に、ハリス氏のホロスコープは爆発的な勢いを示しています。

女性の出世を阻む「ガラスの天井」や、人種の壁を打ち破ったとして世界中から祝福されているハリス氏の飛躍を反映するかのように、彼女のホロスコープでは多くの強力な天体周期が起こっています。かなり専門的になってしまうので詳細は割愛しますが、特にソーラーアークという進行法を使った天体周期に注目しました。（下図参照）

外側の円の、進行した太陽と月が現在ちょうどアセンダント軸を通過しようとしていますね。占星術で太陽と月は「ルミナリー」と呼ばれる重要天体で、これらがアセンダント軸を通過する時期は「アイデンティティの大きな変化」「公衆・周囲からの認識の変化」「注目を浴びる・名声を得る」などの表現が考えられます。まさしく、現在のハリス氏を反映する時期表示だと言えるでしょう。
 

「弱さ」でなく「共感と癒やし」：バイデン・ハリス陣営の課題

選挙で勝利したものの、未だバイデン陣営にとって不安要素は残っています。トランプ陣営は強硬に選挙の不正を訴え、複数の州で訴訟を起こしていますから、まだ荒れる可能性はあります。加えて、バイデン氏はレーガン氏を抜いて史上最高齢のアメリカ大統領となる予定ですから、彼の健康が大統領としての激務に耐え得るのかどうか危惧する声もあります。

1月に大統領として就任した後も、バイデン氏にとっては課題の多い任期となります。コロナウィルスの制御と雇用の回復。国内結束に向けた人種問題の解決。環境問題の改善。海王星のエネルギーを「弱さ」としてではなく「共感と癒やし」「掲げた理想の実現」として表現できるかどうかが問われる4年間となるでしょう。
 

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