ほめるチャンスを逃さない言葉かけ


ABAを利用した働きかけを実践する上で、ほめることはとても大切です。ところが親の中には、「ほめろと言われても、何をどうほめていいかわからない」という人もいます。

実際、子どもができなかったことができるようになるなど、特別なことをしたときには思い切りほめてあげようと身構えていても、その機会はなかなかやってこない場合が多いのです。

そうではなく、子どもがあたりまえの行動をしたとき=普通にしているとき、こまめにほめることが大事。それが、ほめる機会を逃さないコツです。

ほめるチャンスを逃さないためには、どんなふうに言葉をかけたらいいのでしょう。

 

食事中に「背筋のばして」と声をかけ、子どもが背筋をのばすことができたら、「そう、それでいいよ」とすぐにほめてください。

子どもはほめられたことで、背筋をのばすという行動が強化され、その姿勢を保とうとするはずです。ですから一度言葉をかけたあとも、子どもの行動に引き続き注目しましょう。30秒くらいたって子どもが姿勢を保持していたら、「姿勢いいねえ。がんばってるね」と、さらにほめてください。

その子にとっていい姿勢を保つことは、意識的に努力してやっていることですから、その努力をねぎらう意味でもほめ言葉をかけましょう。しばらくたってもまだ子どもが姿勢を保持しつづけていたら、「さすがだね。姿勢よくてかっこいいよ」と、もう一度ほめます。

いかがでしょうか。この方法だと、指示を出して行動に移したときと、いい行動が続いているとき(普通の状態)と、一つの行動で2回以上ほめることができます。

途中で姿勢が崩れてきたときは、「姿勢よく食べられてるかな~」「食べるときの姿勢は?」などと、子どもに考えさせる言葉かけをしましょう。その結果姿勢がよくなったら、もう一度ほめてください。

:平岩さんからひとこと:
ほめることで子どもの笑顔が引き出せれば、自分も幸せになれます。なかなかうまくいかないときに、ほめて子どもになにかをさせようという下心があると、失敗しがち! あくまで楽しく!

 


【いろんな場面で応用できる、目的別ほめ言葉集】


●できたことをほめる
……できた行動を強化し、定着させるのが狙い
「(~できて)かっこいいね」「天才!」「(拍手しながら)すごい!」「いまのいいね!」「(くすぐりながら)上手~」「さすが○歳だね」「さすが、小学○年生は違うね」

●がんばっている過程をほめる
……実際にはできていなくても、その気にさせてモチベーションを上げるのが狙い
「がんばってるね」「それでいいよ」「その調子」「大丈夫、できるよ」「もう少しで、できそう」「これ難しいのに、がんばってるね」「さっきより上手になってるよ」「いまできなくても、必ずできるようになるよ」「ナイス・チャレンジ!」

●存在を認める
……子どもの自己肯定感を高めるのが狙い
「○○ちゃん、大好き!」「おもしろいね」「笑った顔、かわいいね」「おいしそうに食べるね」「ママ助かるな」「ママ、うれしい。ありがとう」「○○ちゃん、生まれてくれてありがとう」「○○ちゃんといると楽しいな」


【ここに注意! せっかくのほめ言葉を台なしにするNG ワード】


●他人と比較する
「○○くんは、○○もできるんだよ」

●すかさず次の課題を与える
「今度は○○もできるようにならないと」

●ほめ言葉のあとに、嫌味を付け加える
「きれいに片づけられたね。いつもこんなふうだといいんだけど」「がんばったね。でもこのくらいは、できてあたりまえ」