ファクトチェックで事実を判定し、誤情報をストップ!


ファクトチェックのルールは5つです。

1.    非党派性と公正性
2.    情報源の透明性
3.    財源・組織の透明性
4.    方法論の透明性
5.    明確で誠実な訂正

要は、「公正性」と「透明性」を、常に考える必要があります。例えばトランプ大統領の発言をファクトチェックした場合、大統領にプラスとなる結果も、マイナスになる結論も出ます。政府への批判や、逆に擁護する目的でファクトチェックを利用するグループがいますが、そもそもそこを勘違いしているのです。ファクトチェックとは、シンプルにデータや事実を積み重ねて「虚」か「実」かを判定するだけの作業なのです。

 

私は仲間と、「ファクトチェック・イニシアティブ・ジャパン(FIJ)」という団体を立ち上げ、日本にファクトチェックを根付かせるための活動を続けています。FIJでは、さまざまな情報を検証して「正しい」「根拠不明」「誤り」といった評価を下し、その結果を発信し続けています。そんな私たちのファクトチェックによって、コロナにまつわる誤情報の発信を食い止めたというケースも出てきて、手応えを感じています。

これからは、「メディアが報じたから事実」ではなく、「ファクトチェックをクリアしたから事実」となるように、リテラシーを変えるべきなのです。

 


中学生・高校生だってファクトチェックできる


日本にファクトチェックを根付かせるため、詳細なやり方を説いた一冊が、『コロナの時代を生きるためのファクトチェック』(講談社)です。コロナにまつわるさまざまな情報について、どのようにファクトチェックを実践したのか、調査の実際を説明していています。特にSNS等が盛んな若い世代にしっかり伝わるよう、わかりやすく書かれています。スマホやPCを扱う中・高校生ならファクトチェックは実践できるのです。

ファクトチェックの技術を使うと、嘘を見抜くことができ、誤った発言に振り回されずにすみます。不用意に誤情報を拡散させることもなく、嘘の連鎖を断ち切ることができる。コロナにまつわる情報が錯綜する今、これは自分を守るための武器です。「事実」と向き合うことを徹底し、「事実は事実。意見は意見」と判別する力を習得する。これこそ情報氾濫の世の中で生き残る方法なのです。


試し読みをぜひチェック!
▼右にスワイプしてください▼

 

『コロナの時代を生きるためのファクトチェック』
立岩陽一郎:著

時事YouTuber たかまつなな氏、推薦!
洪水のようにあふれかえる新型コロナウイルス関連のニュースや噂は、正しいのか、間違っているのか?
情報の真偽を確かめる「ファクトチェック」を身につけることは、コロナと共生する社会を生きるうえで必須のスキル。その訓練ができていないがゆえに、人々は、自ら判断することなくニュースや噂話に振り回されてしまうのです。
この本では「ファクトチェック」の手法を、いまや全国民の関心事となったコロナウイルスにまつわる情報に当てはめて考え、これまで人々を混乱させたニュースたちが本当だったのか、デタラメだったのか、わかりやすく伝えていきます。



【PROFILE】立岩 陽一郎(たていわ・よういちろう)
1967年、横浜市生まれ。91年、一橋大学卒業、NHK入局。テヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを務め、その間、中央官庁の恣意的な随意契約の実態や、化学物質による胆管がん多発事件などをスクープ。「パナマ文書」取材に中心的に携わった後、2016年12月末にNHKを退職し、フリーランスとして独立。2017年1月から1年近く、米国首都ワシントンDCにあるアメリカン大学で客員研究員を務めつつ米国各地を取材。現在、NPO「インファクト」編集長及び「政治資金センター」事務局長として、調査報道とファクトチェックに取り組む。著書に『トランプ報道のフェイクとファクト』『NPOメディアが切り開くジャーナリズム 「パナマ文書」報道の真相』『トランプ王国の素顔』『ファクトチェック ニッポン』『コロナの時代を生きるためのファクトチェック』、共著に『フェイクと憎悪 歪むメディアと民主主義』など

※ この記事は、現代ビジネス「コロナ、大統領選のウラで…世界中で徘徊する 「悪質デマ」のヤバすぎる実態」(文/立岩 陽一郎)をもとに、文章を構成しました。


構成/谷崎八重
 
  • 1
  • 2