40歳という節目で、女性は自らの生き方を振り返るものではないでしょうか。
 
「こんなはずじゃなかった」と後悔しても過去は変えられず、心も身体も若い頃には戻れない――。

これは立場の異なる二人の女性が人生を見つめ直す物語。

進藤早希は脱毛症になった親友・美穂を心配しある計画を立てる。そんな中、帰宅途中に遭遇した若いカメラマン・北山隼人をつい食事に誘ってしまった

 

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40歳の女は対象外...?なぜ若い男に惹かれるアラフォーは「痛い」のかスライダー1_1
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大人の女がバーで失態を晒した夜


「聞いてる?だからね、私がエディターになりたいと思ったのは……」

進藤早希はバーカウンターについた肘でどうにか頭を支えつつ、隣に座る若い男にくだを巻いた。

帰宅途中、偶然にも仕事仲間であるフリーカメラマン・北山隼人に遭遇したのがおよそ2時間前の話。

さくっと食事だけして帰るつもりだったのに……完全に飲み過ぎた。

隼人が急に「僕じゃダメですか」なんて言い出すから、とても素面じゃいられなかったのだ。動揺を誤魔化すためピッチを上げたら想定外に酔いが回った。

「聞いてますよ」と笑う彼に「ほんと?」と念を押してから、早希は再び話を続ける。

「私がファッション誌に興味を持つようになったのは母の影響が大きいの。自慢しちゃうけどウチの母、すごくオシャレな人のよ」

饒舌に語る早希の横で、隼人は静かに肯いている。

「海外雑誌や広告のクリップが家にたくさんあってね。中でもピーター・リンドバーグっていうカメラマンの写真が素敵だった。いつか私もセンス溢れるカメラマンと仕事して、人の記憶に残るような誌面を作りたいって……」

するとその時、黙って聞いていた彼が急に声を上げた。

「僕も好きです!」

「え?」

「僕も好きなんです。ピーター・リンドバーグ。カメラマンを目指したきっかけも彼です。女性を魅力的に撮る世界一の人だと思う。ずっと憧れてて……驚いた。すごい偶然だな」

【写真】年下カメラマンとバーで密会するアラフォー女性編集者
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