動脈硬化や認知症にも関わるとされる「口」の健康。むし歯や歯周病になってからの“治療”よりも、いかに“予防”するかが重要とされています。サウラデンタルクリニック院長の堀滋さんの著書『歯のメンテナンス大全』は、まさにその“予防”に焦点を当てた、自分の歯を1本でも多く残すための正しい方法を教えてくれる一冊です。
堀先生は本書の中で、「コロナウイルス感染症をはじめ、病原体の脅威から身を守るには、口の中の悪玉菌を減らし、口内環境を良好に保つこと、つまりむし歯や歯周病の予防がとても重要なのです」とも語ります。そこで今回は、お正月はもちろん2021年も健康に過ごすための“あなたの歯を守る新常識”を、本書より特別に一部抜粋してお届けします!

 

 

あらためて知っておきたい「むし歯」の仕組み


口の中にはたくさんの菌がすみついています。そのなかには糖質をエサに「酸」をつくりだす菌がいるのですが、この酸が歯のエナメル質を溶かしてしまいます。

歯を修復する(再石灰化)機能も備わっているのですが、むし歯菌が多かったり、エサとなる糖質をたくさん摂っていたり、歯が酸に溶けやすい性質だったりと、さまざまな要因で修復が間に合わなくなると歯に穴があいて、むし歯になります。

 


むし歯は進行によって5段階に分けられています。初期は痛みを感じず、むし歯が象牙質まで進行すると飲食をしたときにしみる感じが出てきます(C2)。歯髄まで進むと激しい痛みを感じるようになります(C3)が、そのまま放置すると神経まで進んで痛みがなくなることもあります。

歯に穴があいていない初期のむし歯(C0)は削らない治療ができますが、それ以外はむし歯になったところを削るしかありません。そして、削るところが大きいほど歯をなくす要因となります。

むし歯は「C0」〜「C4」の5段階で進行する!
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むし歯になるのは食事や歯の磨き方、ストレス、睡眠などの生活習慣が原因です。口の中の状態が、むし歯菌や歯周病菌が増殖しやすいままだと、治療を受けても、いずれまた再発します。最適な治療を受けたうえで、歯磨きや食事に気をつけて、口の状態がむし歯や歯周病になりにくい環境に保つことが何より大切です。

そこを改善しない限り、むし歯になり続けます。治療の繰り返しで歯はダメージを受け、最終的には抜くことになります。自分の歯は自分で守る意識を持ちましょう。