建設や商社といった業界はむしろボーナスが増えましたが、これはオリンピック特需をきっかけにした案件が残っていることや、資源分野を中心に長期契約が多いことなどが原因ですから、やはり前向きな理由とは言えません。多くの企業経営者が同じように考えていますから、業種を問わず、春の昇給や夏のボーナスは厳しいと考えた方がよいと思います。

 

加えて言うと、今年は給付金を一斉配布するといった大胆な政策は、緊急事態宣言などが発動されない限り、実施されない可能性が高いでしょう。昨年はコロナ危機があったにもかかわらず、統計上、家計収入があまり減っていないのですが、その理由は特別定額給付金が各世帯に振り込まれたからです。こうした支援がない場合、多くの世帯で家計収入は減少すると予想されます。

 

そうなると、気持ちの上ではパッとお金を使いたいものの、肝心のお財布は厚くならないという状況が同時にやってきます。結果として今年は貯金を取り崩す人が増える可能性が高いのです。

しかしながら、萎縮ばかりでは精神衛生上も良くありません。多少、余裕がある人は、お金をパッと使うのも悪くないと思いますし、それはそれで経済を助けることにもつながります。ただ、先ほどの理由から、今年は貯金を減らす人が増えそうですから、お金の使い方にはやはり工夫が必要ではないでしょうか。

同じお金を使うにしても、高額商品を買うのではなく、あまりお金をかけずに楽しめるような分野を見つけることが大事です。また貯金を取り崩して消費をする場合には、金額には十分に注意してください。貯金というのは、一旦、取り崩してしまうと、止められなくなるものです。

あくまで支出は収入の範囲内にとどめ、貯金の引き出しについては、どうしても必要な部分だけに限定するという方針を徹底した方が、最終的にはお金で苦労せずに済むでしょう。2021年はうまくお金をコントロールしつつ、少しだけ前向きに消費を楽しむというのが丁度よいと思います。


前回記事「コロナ禍で「東京一極集中」は本当に解消されるのか」はこちら>>

 
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