2020年は新型コロナウイルスという未曾有の危機によって大混乱の1年でした。人によって状況は様々でしょうが、読者の皆さんも、それぞれに大変な思いをされたことでしょう。残念ながらコロナの感染状況は良くなるどころか、むしろ悪化していますが、2021年はどうなるのでしょうか。

 

経済的な面で言えば、昨年の反動から、今年の景気はある程度、持ち直すとの予想が多くなっています。昨年は我慢の年でしたから、読者の皆さんの中にも、買い物など思い切って消費したいと考えている人も多いと思います。

開催できるのかはまだ何ともいえませんが、東京オリンピックも予定されていますから、消費者の気分はかなり前向きになるでしょう。こうしたことから2021年の経済は今年と比較して、ある程度、持ち直すとの予想が出ているわけです。

しかしながら、肝心の給料はあまり上がらないと考えられます。その理由は、企業経営者の多くが、景気の先行きについて厳しく見ているからですが、兆候はすでに昨年のボーナスにもあらわれていると思います。

日本経済新聞の調査によると、昨年の冬のボーナスは前年比で8.55%のマイナスとなりました。これはリーマンショックに次ぐ、過去2番目の大きさです。しかしながら、ボーナスの減少幅は業種によって大きく異なっています。製造業と非製造業という大きな区分では、製造業のマイナスは6.55%にとどまったものの、非製造業は14.6%と大きな下落となりました。

非製造業の中でも、特に減少幅が大きいのは、鉄道やバスなどの運輸関係、レジャー、外食といった業界ですが、こうした業界は、お客さんと直接接する仕事ですから、コロナの影響を真っ先に受けることになります。結果としてボーナスの減少幅も大きかったと考えられます。

しかしながら、外食産業が打撃を受けると、今度はそこに商品を納入している卸や、卸に製品を提供しているメーカーにも影響が及びます。製造業が設備投資を抑制すると、幅広い業界が打撃を受けますから、今年はお客さんと直接、やり取りしない業界でも業績が低迷するケースが増えてくるでしょう。

つまり昨年、業種によってボーナスに大きな差があったということは、時間差で別の業界に影響が及ぶ可能性があるということを意味しているのです。

 
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