【質問2】みかんは、心筋梗塞や脳梗塞の予防につながりますか?
 

これも、栄養成分に分けて考えると、いくつかの仮説を立てることができます。例えば、みかんに含まれる食物繊維は、コレステロールが上がりにくくするのを助けてくれる可能性があったり、みかんに含まれるカリウムは血圧を下げるのを手助けしてくれる可能性があったりします。

高血圧や脂質異常症は、いずれも心筋梗塞や脳梗塞につながる病気です。三段論法的には、みかんを食べればカリウムが増える、カリウムが増えれば血圧が下がる、血圧が下がれば心筋梗塞が予防できる、と確かにみかんで心筋梗塞が予防できそうです。しかし、ここには注意が必要です。

科学の世界では、AならばB、BならばCがそれぞれ真実だったとしても、AならばCは真実ではないということがよくあります。

その昔、β遮断薬と呼ばれる薬は心臓の収縮力を弱める、心臓の収縮力を弱めると心不全の人に悪い影響をもたらす、という三段論法が信じられ、心臓の悪い人には避けられていました。しかし、AならばCを直接検証したら結果は全く逆となり、β遮断薬はむしろ心不全に好影響を与えていたことが分かりました。この結果から、現代の医療は、三段論法の結果とはまるで逆のことを当たり前のように行っています。

三段論法は説得力を持ちやすいのですが、論者に都合のよいデータだけが選択される傾向があり、バイアスのリスクが高くなります。だからこそ、このようなことが起こってしまうのです。

科学の基本に忠実でいるならば、「AならばC」が真実かを知るためには、それを直接、証明するための研究が必要ということになります。

それを欠いている現状では、質問への答えは「分からない」というしかないのです。

 

【質問3】みかんは風邪や新型コロナウイルス感染の予防につながりますか?
 

少なくともみかんがこれらの感染症予防につながったことを示す研究はありません。

新型コロナウイルスに有効だといって、納豆が売り切れたり、乳酸菌入り飲料が売り切れたりということを経験してきましたが、栄養成分を抽出して、「これは〇〇に効く」という宣伝を見たら、必ず立ち止まるようにしてください。三段論法に引っかかっている可能性が高いと思います。
 

 

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