【質問4】これまでのワクチンとどこが違うのですか?

COVID-19ワクチン接種の証明書

今回、私が接種したワクチンは、これまでのワクチンと異なり、「メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン」と呼ばれるものです。実はこのmRNA、皆さんの体の中にもすでに存在しています。

私たちの体は日々、タンパク質を作り続けています。まずはタンパク質がどうやってできているのかをみていきましょう。

私たちは人によってそれぞれ異なる、DNAという貯蔵庫を持っていて、そこには遺伝子情報、いわばたくさんのレシピが保管されています。そこから惣菜(タンパク質)のレシピを選び、キッチンへとレシピを運ぶ役割を果たしているのが「mRNA」で、レシピが運ばれることで、ようやくキッチンで惣菜を作ることができます。

今回、私も接種したワクチンは、この「mRNA」に目をつけました。

この「mRNA」にコロナの構造の一部を作るためのレシピをのせて届けることで、体の中でウイルスのタンパク質の一部を作り出すことができます。実際のウイルスではないので、体の中で悪さをすることはなく、体がこのタンパク質に反応して抗体を作ります。

これはいわばマネキンを使った防犯訓練のようなものです。あらかじめ「ウイルスもどき」を作って訓練をしておくことで、いざ本物のウイルスが体に侵入してきたときにもすぐに退治ができるのです。

なお、従来使用されていたワクチンでは、この「ウイルスもどき」を注射していたのですが、ウイルスに似たタンパク質を作るのに時間がかかったり、大量生産が難しかったりという課題がありました。

一方、今回のmRNAワクチンでは、「ウイルスもどき」のレシピだけを作って届け、実際の調理、タンパク質の製造過程は我々の体に任せているので、ウイルスに合わせて比較的早くワクチンを作れるのです。

「遺伝子の情報を届ける」と聞くと、なんだか自分の遺伝情報が操作されるような幻想を抱いてしまうかもしれませんが、そんな心配はいりません。

人間は、mRNAの遺伝情報を自分のDNAに組み込むことはできないのです。それをするためには「逆転写酵素」という小難しい仕組みが必要なのですが、人間はそれを持ち合わせていません。ですから、mRNAはタンパク質を数日作るのにだけ使われて、そのうちに破壊されてなくなってしまいます。体にずっと残り続けるわけでもないので、ご安心ください。

仮に、このワクチンによって「遺伝子が書き換えられる」というような陰謀論がSNSで流れてきたら、それはデマだと思います。

 


【質問5】急いで作ったワクチンで、危険ではないのですか?


早く作ったとはいえ、実は技術開発自体は、10年も20年も前から進んでいたものです。その集大成が、このパンデミックという危機に直面して発揮されたと考えていただくと良いと思います。

また、安全性や有効性を確かめる臨床試験も、他のあらゆる新薬と同様に、第1相試験から第3相試験と確かなステップを踏んできました。

決してどこかのステップを誤魔化し省略して、今に至ったわけではありません。

もちろん、将来新たなリスクが見つかる可能性を完全に否定することはできません。しかし、それは現代の医療で用いられているあらゆる薬、ワクチンと同じです。あなたが普段、頭痛薬として使っているイブプロフェンや、インフルエンザの時にお世話になるタミフルにもそのような時代があり、皆に親しみを持って使われている今があります。

新しいメカニズムを持ったワクチンであることは確かですが、このワクチンだけが槍玉に挙げられる理由もないと思います。

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