過去の写真を整理していたら、随分前のフォルダを見付けた。
フランスに来てまだ間もない頃の日付に、瞬間ためらいながらも、開く。

二年通った製菓学校が終わり、お免状とメダルの授与式(2012)。Hirokoさん、輪郭がふにゃふにゃ!心もとない、どこか不安げな顔をしているね。

 

嗚呼、玉手箱を開けてしまった!

 

記憶の奥底に眠っていた懐かしい自分に再会し、浦島太郎どころか、一気に十年前の自分に戻る。

会場はパリ市庁舎。裏口から入り、レセプションホールへ続く回廊。ここはベルサイユか?ってな具合に豪華絢爛。言ってみればただの県庁なのにねぇ。

一枚一枚の画像に、ほろ苦い思い出が蘇る。

準備万端、長年の夢だったフランスに、来てはみたものの、終わりの無いモラトリアムのような時間が、私には何とも居心地が悪く、それを払拭するかのように、手あたり次第に予定を詰め込んでいた。

パティシエ、キュイジニエにブーランジェ、カテゴリー毎に合格者の名前が刻まれたパネル。これ、夢じゃないのよね?自分の名前が、どこか他人事に思えたのは、ローマ字表記だったからかな。

何かになりたくて、誰かになりたくて。
いや違うな。

自分らしく生きていく、その為に、自分は何が出来るのか――

探しても、探しても、なんでよ?出てこないじゃん。
フランスに来たら、どうにかなるはずだったんだけどな。

ホールに入ると、ギョギョッ!天使が舞う天井絵に見とれた。

そんな当時に通った、夜間の製菓学校。
二千人以上の入学願書があって、定員の十五人に残った。

 

ほら、私ってツイているでしょ。
なーんてね。

 

軍隊の様な場所とは知らなんだ。
初日の授業で質問をした私に、シェフが放った一言が、私をひどく傷付けた。

「フランス語が分からないのなら、語学学校へ行きなさい」

(...後編につづく!)

メインホールに入ると、シャンデリアがここぞとばかりにぶら下がる。通常は、各国の来賓を迎える豪華なソワレが行われているのでしょうね。欧州文化遺産の日(九月の第三週末)には、一般開放される事も。