③ 普通預金の預け先を検討し直す

 

深野:今は、超低金利時代なので、持っている資産を増やすための創意工夫が必要です。
金利が高いときは、何もしなくても銀行の預貯金に入れておけばどんどん増えていきます。一方、最近は超低金利で、コロナ禍のときに、大手銀行は預金金利をさらに下げました。今は100万円を1年間、定期預金に預けていても、20円ほどの利息(税引前)しかつきません。

でも、例えばオリックス銀行などのネット銀行に預け替えれば、1年の定期預金で金利0.12~0.2%程度なので、1200円~2000円の利息になります。
預ける金額や期間が増えれば、2400~4000円と、受け取るお金はどんどん増えるわけです。20円だとチロルチョコが買えるかどうかだけど、預け替えればランチ代くらいになりますよね。

西山:普通預金に入れっぱなしだと、たくさん預金があると思って無駄遣いをしがちですが、貯蓄専用保険として別の銀行口座に分けると、効果がありますね。

深野:はい。そして同時に前回の記事でもお伝えしましたが、少額で積み立てていく投資も検討してみてください。
月3000円や5000円くらいから投資信託の積み立てを初めて、“果報は寝て待て”で、世界経済の波にのることを目指して続けていくのがいいでしょう。
iDeCoは月5000円からですが、所得控除の税金メリットが大きいので、収入が高い人ほど始める価値はあると思います。

相場が安いときに始めようと思うと、いつまでたっても始められません。少額の積み立てなら、「思い立ったが吉日」で、早めにスタートして大丈夫です。

西山:早くスタートすれば、それだけ練習期間を前倒しにできて、年を重ねたときの投資の失敗を防ぐことができますね。

深野:まさにそうですね。退職金をもらって投資をして失敗してしまう方もいるので、ぜひ現役時代に少額で慣れておくこといいと思います。

 


④ 子どもがいる人は、多めに教育費を見積もっておく


西山:40~50代の方は子育て中の方も多いですが、深野さんもお子様がいらっしゃいますよね。

深野:はい、子どもが2人いまして、一人は予想外に薬学部に進みたいといいまして。最近の薬学部は6年制ですので、通常の4年間通うよりも多くかかります。
本人の進路希望がわかった際に改めてマネープランを見直しまして、無事卒業できてホッとしています。

教育費は、親が思っている以上に多くかかることもあるので、やはり多めに見積もっておくことが大切ですね。

片岡:今は「学び直し」をしたい方も増えていますし、世の中が落ち着いたころに留学をしたいという方もいますよね。

深野:そうですね、収入に余裕がある時期にしっかり貯蓄して、教育費についても多めに準備しておけば、厳しいときはそれを取り崩すことができます。お子さんの将来の選択肢も広げられると思います。

西山:もし「奨学金を借りる前提」にして教育費の準備ができていないと、子どもが社会に出て思うように収入を得られなかったときに、奨学金が重荷になってしまいますものね。

深野:少ない金額で奨学金を借りる分には返済のめどもたちやすいですが、たくさん借り過ぎると、お子さんが将来大変ですね。教育費はある程度多めに考えて、準備しておくことをおすすめしたいです。


⑤ お金の「かけどころ」と「抑えどころ」を見極める


西山:コロナ禍で価値観が変わって、お金をかけたいところが変わってきた方も多いと感じています。

深野:お金のご相談を受けると、必要ないところにお金を使ってしまって、そのために本来使いたいところに使えない、という方がよくいらっしゃいます。
支出を何もかも減らしましょうということではなくて、「こだわりどころ」にお金をしっかりかけられるように、絞るところをぜひ見極めていただきたいですね。

日々の出費だけでなく、例えば少し前に住宅ローンを組んだ方は、現在は金利が大きく下がっているので、借り換えによって安く抑えられる可能性があります。
工夫によって抑えられるところは抑えつつ、自分が価値があると思える出費にしっかりまわせるように、自分にとっていい配分をぜひ考えてみていただけたらと思います。

※情報は2021年1月29日時点です。


深野康彦  Yasuhiko Fukano
ファイナンシャルプランナー(AFP、1級ファイナンシャルプランニング技能士)。FP業界歴30年超のベテランFPの一人。クレジット会社勤務を3年間経て1989年4月に独立系FP会社に入社。1996年1月に独立し、現在、有限会社ファイナンシャルリサーチ代表。BSテレ東「日経プラス10」他、テレビ・ラジオ番組などの出演、各種セミナーなどを通じて、投資の啓蒙や家計管理の重要性を説いている。あらゆるマネー商品に精通し、わかりやすい解説にファンが多い。『55歳からはじめる 長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)等、著書多数。

取材・文/西山美紀
構成/片岡千晶(編集部)

 

前回記事「住宅ローンの繰り上げ返済はNG「コロナ禍でやってはいけない4つのこと」」はこちら>>


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