「会食ルール化」も結局見送り。日本の政治家が食事なしで会合できない理由_img0
自身も参加した“ステーキ会食”の発覚から間もない2020年12月25日、記者会見で、新型コロナ感染拡大防止のため「静かな年末年始を」と呼びかけた菅首相。写真:代表撮影/AP/アフロ

菅義偉首相の会食参加が問題視されたことから、与野党は会食のルール化について検討してきましたが、結局は見送られました。各議員の自主性に任されるとのことですが、多くの議員が会食を続けるのはほぼ確実でしょう。ネットでは「特権階級意識丸出し」などと批判の声が集まっています。

 

会食の自粛を国民に要請をしながら、自分たちだけは例外というのは、筆者もまったくあり得ないことだと思いますが、それにしても、なぜ国会議員はここまでして食事をしたいのでしょうか。

昨年12月、菅首相が8人が集まる忘年会に出席したことが明らかとなり、国民からは批判の声が殺到しました。このため与野党は国会議員の会食ルールについて協議を行い、1月6日には「4人以下、午後8時まで」という方向性を確認していました。ところが、この協議内容を知った日本医師会の中川会長は「4人以下なら感染しないとお思いなら間違い」「人数にかかわらず全面自粛してはどうか。国会議員に範を示して頂きたい」と述べ、国会議員が率先して会食を自粛するべきだとの考えを示しました。

ネットなどでも賛同する意見が相次いだことから、与野党は7日、再び協議を行い、立憲民主党は「会食自粛を申し合わせるべき」と主張。一方、自民党は「各議員が自覚を持って対応すべき」として自粛に難色を示しました。結局、与野党は折り合えず、最終的にルール化は見送られる結果となりました。


立民、国民民主の両党はそれぞれ独自に会食の原則禁止を決めましたが、自民党は議員の自主性に任せる方針です。与党議員の行動に縛りはありませんから、一定割合の議員が会食を続けることになるでしょう。

さんざん議論したあげくにルール化を見送ったことについては、当然のことながら批判が殺到していますが、この問題を解くカギとなるのは、国会議員がなぜここまでして食事をしたいのかという点です。

当たり前のことですが、国会議員の人たちは、一般人よりもお腹が空いているわけではありません。会食という場を通じて、多くの人と会いたいと考えており、それゆえに会食はやめられないという理屈なのです。こうした考え方に対しては「政治家の仕事が人と会うことなのは理解できるが、なぜ食事抜きで会合ができないのか」という声が多数寄せられています。

この意見は極めてまっとうなものであり、わざわざ食事というものを間に挟む必要はありません。それにもかかわらず、彼等は会食にこだわっているのですが、その理由は、彼等の会合の多くは食事がないと成立しないものだからです。

 
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