1月7日、国会の衆院議院運営委員会で答弁する西村康稔経済再生担当相。写真:つのだよしお/アフロ

世の中には、現場への出社が必須となる職種がありますから、そもそもこうした仕事の場合、テレワークという選択肢はあり得ません。一方で、いわゆる事務的な仕事の場合、理屈上は多くの業務がテレワークに移行できるはずです。先ほどのパーソル総研の調査では、テレワークに移行できていない理由のうち37.4%が「制度が整備されていない」となっており、「テレワークで行える業務ではない(45.1%)」に迫る勢いとなっています。

 

昨年5月の段階であれば、制度が整備されていないのは当然のことかもしれませんが、その段階から半年以上が経過していますから、もし本気でテレワークを実施するつもりがあれば、とっくに制度構築を進めていたはずです。こうした状況を考えると、現段階でテレワークを行っていない企業は、積極的にテレワークに移行するつもりはないと考えた方がよさそうです。

先日、コロナのリスクを考えて、休場を申し出たにもかかわらず拒否されてしまい、苦渋の決断で引退した力士が話題となりました。日本相撲協会幹部による「怖いからでは理屈が通らない」という精神論的な発言が批判を集めましたが、力士が休場できない理由は、単純に精神論だけとは限りません。

相撲協会は、当初からコロナに積極的に対処するという感覚が薄かった可能性があります。このため出場を拒否する力士が出てきた時にどう対応してよいか分からず、結果的に精神論を振りかざすことになってしまったことは十分に考えられます。もともと組織としての強い意志がないと、制度や仕組みの構築は進まないのです。

世の中には、どうしても現場への出勤が必要な職種があり、こうした人たちの感染を防ぐためにも、テレワークに移行できる人は可能な限り出社せず、街中の混雑を減らした方が効果的です。

本来は企業自らが、積極的に制度構築に取り組むべきですが、今はそれを議論している余裕はありません。政府が本気で7割の削減が必要と考えるのであれば、もっと具体的な形で制度の導入を促す必要があるでしょう。


前回記事「「会食ルール化」も結局見送り。日本の政治家が食事なしで会合できない理由」はこちら>>

 
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