特別な食事法でなくてOK! とっても身近な認知症予防食


本書では30の認知症予防食を紹介していますが、ここでは日常生活に取り入れやすい3つの食品をご紹介します。

①カレー

 

最初に取り上げるのは、「カレー」です。実は、70〜80歳代のインド人のアルツハイマー病発症率は、アメリカ人と比べて、約4分の1というデータがあるのです。その理由は、カレー独特の食欲を誘う“黄色”を生み出すスパイス、「ウコン(ターメリック)」にあるとみられています。ウコンに含まれるポリフェノールの「クルクミン」には、加齢とともに脳内にたまり、アルツハイマー病の原因となるたんぱく質「アミロイドβ」ができるのを防いだり、すでに固まってしまったアミロイドβを分解したりする効果があることが、金沢大学の研究などからわかっています。

さらに、アルツハイマー病だけでなく、認知症を引き起こす病気のなかで2番目に多い「レビー小体型認知症」についても、その原因となるたんぱく質(α‒シヌクレイン)を分解する働きがあることが期待されているのです。

市販のカレールウやカレー粉にもウコン(ターメリック)は入っていますが、含有量が少ない場合は、少量のウコン(ターメリック)の粉を追加してもいいでしょう。 

国際機関JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)によると、ウコンに含まれるクルクミンの一日許容摂取量は、「体重1kgあたり3mg」と設定されています。つまり、体重が50kgの人では、150mgが一日の許容摂取量となります。通常、食事を通じて摂取するぶんには、とり過ぎることはまずないと思いますが、肝機能障害の症例も報告されていますので、とり過ぎにはくれぐれも注意しましょう。人によっては、ウコンに対してアレルギー反応を起こす場合もあります。

ウコンといえば、コンビニなどで購入できる「ウコン飲料」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。こうしたウコン飲料の多くにも、クルクミンは含まれています。これまでに、二日酔い予防効果を期待してウコン飲料を飲んでいた人は、同時に認知症予防も行っていたといえます。

 


②ビール、ノンアルコールビール

 

ビール党の人に朗報です。近年の研究により、ビールやノンアルコールビールの「ホップ」に含まれる苦味成分に、認知機能を改善する効果があることが判明しました。2019年にキリンホールディングスが、ヨーロッパ醸造学会で発表した報告によると、ホップ由来の苦味成分を含むサプリメントを12週間にわたって摂取したグループは、摂取しなかったグループと比較して、認知機能のうちの「記憶想起力」が改善されることが確認されたそうです。

このように認知症予防にいい食品を語るうえで、“避け”ては通れない“酒”(ビール・赤ワイン)ですが、飲み過ぎると逆に「アルコール性認知症」になってしまう危険性もありますので、くれぐれも適量を楽しむようにしましょう。ホップ由来の苦味成分は、ノンアルコールビールにも含まれていますので、お酒自体が飲めない人はノンアルコールビールを飲むといいでしょう。