週に一度の習い事は木曜日の夜。夜間外出禁止令が18時に繰り上がったものの、政府の許可が下りた教育機関は、現場での修学が認められている。

メトロを避けて、歩く事40分。
これがなかなかに良い運動だ。
教室に着く頃には、いい塩梅に上機嫌の私が出来上がっている。

帰り道が、特に良い。

マレ地区から、パリ市庁舎広場へ。ノートル・ダムを左手に、セーヌを渡ってサン・ミッシェルに抜ける。オデオン、サン・ジェルマン・デ・プレは目の前だ。ここは私のカルチエ。目を瞑っても歩ける様な気がする。

 

人っ子ひとり居ないパリの夜を独り占め。
オレンジ色の街灯と、ブティックのショーウィンドウ達が美しい。

夜の虹を見たよ。

ウインドブレーカーの専門店K・WAY。有名店になりすぎたのか、フランス人はウインドブレーカー全般の事を、カーウェイと呼んでいます。ティッシュペーパーの事を、クリネックスと呼んじゃう感じ、分るかなぁ。

外出許可証を印籠に、暗闇を闊歩していると、ふと、バルザックの人間喜劇、ラスティニャックの台詞が脳裏に浮かんだ。

「パリよ、今度は俺とお前との勝負だ」

そうだ、コロナ禍が終わったらお前とサシの勝負だ。待ってろよ。私はこの街で、叶えるべき夢が、まだまだ沢山あるんだからね。

こんな由なし事が、頭の中で一回転した頃に家に着く。

腹が減っては戦が出来ぬ。
さ、残り物でなんか作ろっと。