自粛期間にお届けする、Hirokoさんの映画ブログも調子に乗って四回目。
今回は、個性豊かなフランス産のアニメ長編映画をご紹介致しましょう。

フランス人はアニメを見るのか?
本題に入る前に、ちょっと待った!フランスのアニメ事情について、一言二言言っておかなければなりませぬ。

フランスにおける日本のアニメ人気は絶大です。
いや、世界中でトップを独走中とも言えるでしょう。
老若男女すべてに受け入れられる、芸術的なエンターテイメント作品としてのアニメーションは、日本の大得意とする所ですが、ぶっちゃけフランスではそうでもない。

ですから、同世代の友人達は、ジブリ作品はもちろんの事、TVではキャンディ・キャンディやハイスクール奇面組などの、日本のアニメを観て育ってきたと言いますし、私の幼少期のそれと、さほど時差を感じません。

こうして日本のアニメを見て育った世代が、現在のフランスアニメ業界を牽引しているのですね。

フレンチアニメーション三つのトレンド
さて、フランス産のアニメ作品には、三つのトレンドがある、と言われています。それぞれが独立し、カテゴリー化されている様に思います。

1)子供の絵本に代表される様な、いわゆる童話の映画化です。

2)描写がリアルな、実写に近いタッチの作品。生活感あふれる身近な話題を扱います。

3)ファンタジーでポエティックなサイエンスフィクションです。

2019年に映画ファンの話題をさらった作品がありました。
下記でも紹介する、『失くした体 (J'ai perdu mon corps)』です。
この三つのトレンド全てをミックスし、垣根をとっぱらった、その斬新さと新しさが、人々を魅了しました(私も !)。是非皆様にもご覧頂きたい作品です。

それでは皆さん、本編をお楽しみ下さい!
(サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ〜!)

【失くした体】
ジェレミー・クラパン監督作品。カンヌ映画祭国際批評家週間賞、アニー賞(アニメ業界のオスカー)、アヌシーアニメ映画祭長編映画賞、他多数受賞。アカデミー長編アニメ映画賞ノミネート。

人物がいかにも外国のアニメ風で、どこか取っつきにくいのは否めないのですが、じっと我慢。素晴らしい感動があなたを待っています。出典:unifrance

2019年、仏映画人の殆どが観たという話題作。タイトルから想像する、医療系ドラマではありませんのでご安心を。フレンチアニメーションの三つのトレンド(上記参照)を全て盛り込み、それが大成功した作品。音楽をフレンチポップバンドのThe Døが担当し、美しい息吹を吹き込んでいます。
一時間ちょっとの上映時間が物凄く濃密。この映画の新しさは、『君の名は』を観たときのインパクトと似た物がありました。

写真画像をトレースしてアニメーションに仕上げる方法≪ロトスコープrotoscopie≫は、リアルな風景描写、人物の動きを可能にする手法。出典:unifrance

仏題はJ’ai perdu mon corps 2019年公開、1時間21分。

 

【ベルヴィル・ランデブー】
シルヴァン・ショメ監督作品。ニューヨーク映画批評家協会賞、セザール賞音楽賞受賞、アカデミー賞長編アニメ映画賞、歌曲賞 ノミネート、他多数。

シックな色合いにデフォルメさたイマージュが何ともお洒落。出典:unifrance

何はともあれ、音楽が良い!と百回言いましょう。オスカーにも輝いたこのテーマ曲「ヴィルベル・ランデブーBelleville Rendez-Vous」は、今でもパリのバーやカフェではお馴染みのナンバーです。お洒落でスタイリッシュ、ヘンテコでトンデモない、三つ子のお婆ちゃん達(レ・トリプレット)が出てきます。歌います、踊ります。おまけには、ジャンゴ・ラインハルトジョゼフィン・ベーカーなんかもカメオ出演!ワクワクしますねぇ。これぞフランスのエスプリ。ジブリやディズニーに飽きたらどうぞ。ガキにはこの良さ、分かんないかもなぁ。早く大人になれよ~!

仏題はLes Triplettes de Belleville 2002年公開、1時間20分。

 

【ぼくの名前はズッキーニ】
クロード・バラス監督作品。アヌシー国際アニメーション映画祭観客賞、セザール賞アニメ映画賞受賞、他多数。アカデミー賞長編アニメ賞、カンヌ映画祭カメラ・ドール賞ノミネート。

実在する子供達をモデルにして、そこから≪ロトスコープrotoscopie≫を使い、パペットに起こしたんだそう。それぞれのキャラクターがとってもキュート。目のまわりにクマがある子供達の顔に、観客は何を思うか。出典:unifrance

とっても可愛らしいパペットアニメ、なんですが、侮るなかれ。様々な理由から、親と一緒に暮らせない子供達が住む孤児院が舞台で、ストーリーは残酷な迄にリアルでもあり、考えさせられます。楽しいシーンに笑った後、その現実とのギャップに、切なさがより一層心に迫ります。『チェブラーシカ』や『ウォレスとグルミット』なんかもそうだけれど、パペット物って、どこかノスタルジックで、哀愁が漂うのが良いんだな。家族全員で楽しめる、心暖まる傑作。日本では舞台化もされている様です。

仏題はMa vie de Courgette 2016年公開、1時間10分。

 

【アーネストとセレスティーヌ】
バンジャマン・レネール監督作品。アカデミー賞長編アニメ賞ノミネート。カンヌ国際映画祭監督週間特別賞受賞。

ユージュアル・サスペクツ』風?!このポスター、めちゃくちゃ可愛くないですか?出典:unifrance

フランスの子供達誰もが知っている絵本シリーズの映画化。キャラクターの表情が繊細でとってもキュート。クマとネズミの生活様式を知るだけでも観る価値あり。
ほんわかしたパステル調の色彩の中、美しい音楽と共にストーリーは進みますが、世間の偏見や断絶を、動物の目線で語る社会派な面もあり、大人も楽しめる作品です。アーネスト役を名優ランベール・ウィルソンが担当。

 

仏題はErnest et Célestine 2012年公開、1時間20分。

 

【パリ猫ディノの夜】
アラン・ガニョル監督作品。アカデミー賞長編アニメ映画賞、セザール賞長編アニメ映画賞、アニー賞長編アニメ映画賞ノミネート。
キャッチコピーは、「ウチの猫は、夜中に何してるんだろう?」

出典:unifrance

この作品の新しさは、仏アニメ界初の、フィルム・ノワールと言われる所以です。平面的でシンプルなデッサンは、何処か素朴でノスタルジック。ノートルダム寺院やエッフェル塔などのパリの名所は夜が舞台に。パリ猫ディノが優雅に駆け巡る姿は、キャッツアイとルパンを足して二で割った様に爽快でワクワク!家族で楽しみたい楽しい作品。

 

仏題はUne vie de chat 2010年公開、1時間20分。

アニメーション映画の良い所は、上映時間の短さ。
気軽に観られてフィーリンググッド♪
自粛期間の気分転換に最適な作品達、お勧めです!