その教え方が子どもをダメにする──恐ろしい8つの常識

 

近年の脳科学や心理学などの進歩で人間の学びに関する研究が急発展し、「学びの科学」(Science of Learning)として、注目を集めています。

その成果の一部として、これまで良いとされた慣習の中には、広く使い古されながらも、機能していない学習方法や教育法があることが分かってきたのです。

それどころか、良いといわれるやり方を良かれと思ってやっているのに、子どもの学習に逆効果になっていることさえあるのです。

【教育・学習の間違った常識】
× 成果や能力をほめる
 ▶逆に向上心が下がってしまう

× 手取り足取り丁寧に教える
 ▶学びが浅くなり、探究心が削がれる

× 評判の教材や勉強法で学ばせる
 ▶才能もやる気も潰してしまいがち

× 得意な学習スタイルで学ばせる
 ▶脳科学に反する行為で記憶が定着しにくい

× ストレスをさける
 ▶人間のDNAに逆らって余計ストレスの悪影響が出る

× テストで理解度や能力を測る
 ▶最高の学びのチャンスを逃してしまう

× 同じ問題を反復練習させる
 ▶スピードが上がっても思考力は下がる

× 勉強は静かに1人でやらせる
 ▶脳の「半分」は休止状態のまま


良かれと思ってやりながら、実は、子どもの人生を予期せぬ不幸に導いてしまっているかもしれません。

子どもをダメにする間違えた習慣を今すぐ見直していきましょう。

 


ハーバードがハリウッド化? 「エンタメ化」の進む大学教育


ユネスコの報告によると、現在世界中で大学に在籍する生徒の数は、2億人で、それが2030年までには4億人以上になるとのことです。そしてその多くがオンラインでの受講によるものになると予測されています。

オンライン教育のマーケットでは、学生数の急激な増加に伴い大学レベルでの競争が激化していきます。

その中で、注目されているのが、教育の「ハリウッド化」現象です。

オンライン教育での競争が激化し、投資が増えると、教育プログラム以外の部分でも差をつけようと、各教育機関が切磋琢磨を始めます。

これまで割とシンプルな設備を用いて行われがちだった、オンライン講義やビデオレクチャーも、CGが使われたり、有名人が出演するなど、映像としてのプロダクションバリューを高める方向に進んでいくと考えられています。

こうしたトレンドをキャッチーに称して、「ハーバードのハリウッド化(Hollywood Meets Harvard)」などというコピーを見かけるほどです。

教育の「ハリウッド化」の流れの中で、生徒がどこにいても見たい授業が受けられるような学習の分散化が進んでいくと、教育や学習が「ネットフリックス化」していく未来もそう遠くないでしょう。
 

著者プロフィール
星 友啓(ほし・ともひろ)さん:
スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長/哲学博士/EdTechコンサルタント。1977年東京生まれ。東京大学文学部思想文化学科哲学専修課程卒業。その後渡米し、Texas A&M大学哲学修士、スタンフォード大学哲学博士を修了。同大学哲学部の講師として教鞭をとりながらオンラインハイスクールのスタートアップに参加。2016年より校長に就任。現職の傍ら、哲学、論理学、リーダーシップの講義活動や、米国、アジアにむけて教育及び教育関連テクノロジー(EdTech)のコンサルティングにも取り組む。全米や世界各地で教育に関する講演を多数行う。著書に『スタンフォード式生き抜く力』(ダイヤモンド社)がある。
【著者公式サイト】http://tomohirohoshi.com

 

 

『スタンフォードが中高生に教えていること』
著者:星 友啓 SBクリエイティブ 900円(税抜)

アメリカ有数の進学校「スタンフォード大学・オンラインハイスクール」の校長を務める著者が、同校における独特なオンライン授業の内容を紹介。さらに、最新の科学に裏打ちされた「間違った常識」を挙げ、良かれと思って行われている現在の教育方法に警鐘を鳴らします。


構成/さくま健太