「今、住宅ローンを借り換えたらお得かな……」と思っても、どこをどう判断して行動に移したらよいか、迷っている方も多いのでは? 「見極めるポイントは大きく3つあります」と、住宅ローンソムリエ®として活躍しているプロ中のプロ、中村諭さんはいいます。マネーコラムニスト西山美紀とマネー初心者の編集・片岡がお話を伺いました。

 

前回記事
住宅ローンの繰り上げ返済、後で損する3つのパターン>>

 


ポイント① 金利の差が0.5%以上あれば検討を


中村諭さん(以下敬称略):ひと昔前までは、住宅ローンの見直しのタイミングは「金利差が1%、ローンが10年以上残っていて、残高1000万円以上が目安」なんていわれていましたが、もう古い情報ですね。

今は金利差が0.5%以上あれば、借り換えのメリットがあることが多いです。実際はシミュレーションをしてみないとわかりませんが、現在0.9%以上の金利で借りている場合は、見直しの余地があると思います。

片岡:それなら、多くの人が対象になりそうですね。

西山:自分が借りている住宅ローンの金利がいったいいくらか、わからない人もいると思いますので、ぜひ一度チェックしたいですね。
 

ポイント② 保険に有利に入るために、40代のうちに


中村:住宅ローンを見直すときに、金利の数値と同じくらい大切なのが、年齢です。なぜなら50歳を超えると、より有利な団信(団体信用生命保険)に入ることができなくなるケースがあるからです。実際、51歳になって住宅ローンの見直しをして新しいローンを組みたいと思ったら、希望していた有利な団信に入れなかった……という例もあります。団信そのものには50歳を超えても入れるのですが、種類によっては51歳からは要注意なのです。

片岡:ほんの1歳の違いでも、要注意なんですね……。

中村:例えば、金融機関によって詳細は異なりますが、50歳までなら、死亡や所定の高度障害状態のときだけでなく、3大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)になった場合でも条件に当てはまればカバーされる「3大疾病付き団信」といった、お得なタイプに乗り換えられる可能性もあります。

弊社には「ネット銀行で住宅ローンの借り換えをしたいけれど、数か月後に51歳になってしまう。50歳で有利な団信に入れるタイミングまでに自分で手続きをする自信がないのでお願いしたい」というご相談もあります。
40代のうちなら、お得な団信に乗り換えられる可能性もありますよ。

西山:40代の方、要チェックですね。

中村:住宅ローンを見直すなら51歳になる前に、できるだけ早めをおすすめしたいです。
 

ポイント③ 返済が苦しくなりそう、という見込みがある


中村:これまで返済が遅れたことがないけれど、今後厳しくなる可能性がある、という方にも、ぜひ早めに住宅ローンの見直しをおすすめしたいです。
もし家計が厳しくなって返済が遅れた場合、通常は個人信用情報に登録されます。

片岡:それは「ブラックリストに載る」ということでしょうか。

中村:はい。実際にはブラックリストというリストはないのですが、いわばそういうことですね。ただ今だけは、コロナ禍で返済困難に陥った人への救済措置の一つとして、個人信用情報には載らないことにはなっているのですが、金融機関などのプロが見れば返済が厳しかったことがわかってしまいます。
その場合、新しい住宅ローンに借り換えをしたいと思っても、審査が通らない場合があるからです。

西山:今のところ収入に変化がなくても、今後ボーナス減や月収減の可能性がある方は、特に早めに検討したいということですね。

中村:はい、そうですね。収入が下がってから相談にいくと、その収入にあわせてローンが返せるかという審査にもなりますので、以前なら通ったはずでも、通らなくなってしまう危険性があります。

基本的には、去年1年の源泉徴収票も、審査の際の一つの検討材料になりますので、今年年収が減りそうな人は、来年になる前に、今年中に早めに見直しすることをおすすめしたいです。

 
  • 1
  • 2