子どもの問題行動に隠されたメッセージとは?

 

例えば、子どもがすぐ手を出してしまう傾向がある場合、どうやって「そのまま」受け容れるのか見てみましょう。

 

子どもがお友だちに手を出してしまった時、あなたはどうしますか?「この子はいつもすぐ手を出すんだから」と批判的に見てしまうのなら、その段階ですでにそうなりやすい状況を作ってしまっています。「お兄ちゃんはそんなことしなかった」とか「お隣の〇〇ちゃんは、おとなしくていい子なのに」などと比較してあわてたり、非難したりしていると、その子の本当の気持ちや本質が見えなくなります。

いったん「この子はこの子。この子はそういう言動をする理由があるのだ」と、深呼吸し、受け容れましょう。大切なのは、自分も子どもも1ミリも責めないこと。
 
子どもがすぐに手を出してしまうというのは私と三男の体験でもあり、そこで気づいたことがあります。

一つめは、私が子どもの「そのまま」を受け容れられず、子どもと「つながれていなかった」こと。

二つめは、私自身が自分の感情をしっかり感じていなかったこと。そのため子どもの本当の気持ち、本質が見えなくなっていたこと。

まず一つめについて。

「目を見てしっかり話せば子どもはわかる」と思い込んでいたため(上の兄二人はそれで伝わったため)、子どもを「そのまま」「受け容れる」ことの大切さをまったく理解していませんでした。

子どもが何か悪いこと(この時は、お友だちに手を出す)をした時は“手を出すことは悪いこと”と何度も教えていたのですが、これでは子どもの「そのまま」「受け容れる」ことにはなっていません。

だから、子どもは「母親とつながれない悲しさや寂しさ」を「わかってほしい」と「困った」行動で表現していたのです。

そして、二つめ。

私自身が「いい親」「やさしいママ」「理解のある親」でありたいために、「怒ってはいけない」「怒るべきではない」と思っていました。そのため、自分の中にある「怒り」を認めたくなかった! だから無意識で怒りを「ない」ものにして抑え込んでいました。

そのことを、子どもが鏡となって“怒り”や“乱暴さ”として、私に見せてくれていたことに数年経って気づかされました。怒られても怒られても「ママ、怒ることあるよね」「怒っても大好きだよ」とずっと伝えながら。

まさか、子どもの言動にそんなメッセージがあったとは! 夢にも思いませんでした。子どもの言動には必ず理由があり、いつも大人へのメッセージを伝えているのです。

当時、私はカウンセラーや専門家にも相談しましたが、「特に問題はない」「やや発達障害かも」「成長とともに減りますよ」など診断はさまざま。けれども「問題」は、改善も解決もまったくしなかったのです。