誰かに何か言われたら「私、いくつだと思ってるの?」って言い返しちゃいます(笑)


――こんなことを聞くのも失礼なんですけど、女優さんにとって年齢ってすごくデリケートなものなのかなという印象があります。年齢を重ねていくことで、役柄の幅も狭まることもありますし。中田さんはそうしたことへの戸惑いや抵抗はありませんでしたか。

 

中田 むしろ私はそれが楽しかったです。私は『やっちゃば育ち』というドラマでデビューしたのですが、そこですでに18から60過ぎまで演じさせていただいたんですね。そのときからいろんな年齢の役を演じることが楽しくて。今の自分とかけ離れた役をいただけると、ものすごくファイトがわいてくるんですね。だから、常に若くて綺麗な役がやりたいという想いがまったくないんです。

 

――じゃあ次はおばあちゃん役ですと言われても…

中田 全然嫌じゃないです。私、可愛いおばあちゃんになりたくって。昔、『いじわるばあさん』というドラマがあったじゃないですか。あの逆で『かわいいおばあちゃん』なんてドラマがあったらどうかしらって真剣に考えたこともありました(笑)。

――年をとって変わっていくことを楽しんでいらっしゃるんですね。

中田 そうですね。確かに見た目は変わりますよ。白髪も増えるし、シワも増えるし。でも、そんなの当たり前ですもの。もしそれで誰かに何か言われたら「私、いくつだと思ってるの?」って言い返しちゃいますよ(笑)。「私、60過ぎているのよ。当たり前でしょ?」って。そこでクヨクヨすることなんてないと思うんです。

――中田さんがそんなふうに年齢を重ねることに前向きになれているのは何があるからなのでしょうか。

中田 私は幸せなことに、周りの先輩方がとてもいい方ばかりで。私が40代の頃から「40代はいいわよ」とおっしゃっていて。50になれば「50代はもっといいわよ」、60になれば「60代はうんとうんと良くなるわよ」とおっしゃるんですね。そんなポジティブな方たちばかりだから、自然と「どんな50代になるんだろう」「どんな60代になるんだろう」と明るいイメージを思い描くことができたのかもしれません。

――まさに草笛光子さん演じるくじらママのような方が身のまわりにいたんですね。

 

中田 まさにです。それこそ草笛光子さんは目標ですよね。草笛さんは日常の過ごし方が魅力的でいらっしゃるんです。お友達に会いにニューヨークへ行かれたり。お洋服もドレスアップされていて、それが本当に素敵で。日頃から犬のお散歩もされたり。草笛さんを拝見していると、日常にほどほどの緊張感を持つことは大事なんだと学ばされます。私は、お休みの日は完全にオフになってしまうので、それはちょっとやめようかしらなんて(笑)。