オールドボーイズクラブの呪縛を解き、これで本領発揮できるかと思いきや、転職したITベンチャーでは、自分よりも15歳も若い社長に「年寄り」扱いされることが悩みのタネに。そこで紫乃ママが提案したのは、社長の“メンター(仕事上の指導者、助言者)”になること。

 

紫乃ママ:アラフィフの女性だからこそできることってあると思う。空気読まないでお節介したり、「老婆心だけど」って前置きして言いたいことが言えたりするのってアラフィフ女性の強みじゃない? 男性同士って年齢が違ってもどこかで競争しがちでしょ。だから、そういう土俵には乗らず、なんでも言えるのがこの世代の女性の強みの一つだと思う。それがうまく機能すれば、若い社長のご意見番みたいな役割に絶対なれると思う。今、セカンドキャリアで「顧問業」ってあるけど、女性は断然向いてると思うのよね。

裕子:40代まではやりたいことをやらせてもらってきたし、自分の事だけを考えていればいい時代はもう終わったってことですよね。自分の役割を見つけながら周りをもり立てていく。そういう年齢になったってことか……。

 

紫乃ママ:そっちのほうが楽しいわよ。これまで完璧すぎるキャリアを歩いてきたから、今は「降りる練習」だと思って。きっといいメンターになれると思うよ。

裕子:夫からも「山の下り方を考えろ」って言われました。

紫乃ママ:山を下りるというより、「目線を下げる」ってことかもね。大人が子どもと話すときにちょっとしゃがんで目線を合わせるみたいな。いい意味の諦めを持って、相手と同じ土俵で戦わないこと。若い社長をアシストしながら今までやってきたことを生かせばいいのよ。母のような気持ちで。

裕子:自分自身の活躍だけを目指した前の会社は、今となっては、いわばサイズも見た目も合わなくなってきた服みたいなものですかね。そろそろ次の自分に合う服に着替えないとですね。今までやってきたことを原動力に若い世代を育てて、私の代わりにやりたいことを存分にやってもらいます。