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渡辺ミキ社長、私よりも“青木さやか”を諦めなかった理由を教えてください

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青木:“思っちゃった”の部分に少し引っかかりますけど(笑)、私の“真面目さ”を一番はじめに面白がってくださったのは社長ですよね。青木さやかのスタート地点は、まさに社長とお会いしたこの日だったと思っています。

渡辺:それから「どこ見てんのよ!!」でブレイクして、たくさんの方に見ていただいたけれど、青木にはこの決めゼリフという“方法論”があったからこそ、途中で道に迷うことはあったものの、基礎に立ち返ることができたよね。うちのタレントたちを見ていても、こういう方法論を持っていない場合は、どうしても疲弊してしまいがちだから。「どこ見てんのよ!!」がなかったら、青木ももっと早くにくたびれていたかもしれないね。

 

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青木:そうかもしれないです。でも、当時は何百回とやっていたことが、とても嫌で。よく社長に愚痴ってました。

渡辺:青木は「あればっかりやらされる!」って嘆いていたけど、私としては「当たり前だろ!」ですよ。だって、青木に求められていたのは「どこ見てんのよ!!」だったわけですから。それに、バラエティ番組、情報番組、いろいろなところに呼んでいただく中で、「どこ見てんのよ!!」っていう記号を使えるということは、実はラクなことであり、恵まれていることですからね。

 

青木:社長に言われて、本当におっしゃる通りだなと反省しました。そんな気持ちでお仕事できていたら、今でも第一線で売れ続けていたかもしれないですね。

渡辺:人生って、そううまくいかないから面白いんじゃない? 未熟さや暴走する熱意が特別なエネルギーになることって、絶対にありますから。ギリギリの状態で頑張っている人を観ることで、視聴者や観客の方たちはエネルギーをもらう。私たち芸能の仕事は、そんな“命のかけら”をお客様にお渡しする仕事なんです。青木は、命をかける必要のないところにまで、いちいち命をかけていたよね。だからブレイクできたんだって私は思ってる。

青木:そこまでやる必要なくない? って、いろんな人によく言われていましたね。もっと自分をわかっていたらよかったんですけど。

渡辺:“わかっていなかった”ということが尊いんですよ。青木は相当苦しかったと思うけれど、お客様には貢献ができたのだから、それが何よりじゃない。もちろん、未熟を脱して熟成しはじめてしまったら尊くない、終了ということじゃないですよ。また次のステージで、青木さやかの命をかければいいだけの話です。