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渡辺ミキ社長が語る芸能マネジメントの面白み「二人三脚の紐が解ける時が一番つらい」

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青木:自分が何も失っていない状態だと、社長や周りに感謝するのはなかなか難しいかもしれませんね。私は失ったものもありました。おかげさまで気づくことができました。

 

渡辺:青木は気づくのがもうちょっと早くてもよかったけどね(笑)。でも、青木もそうだと思うけれど、“私が説得したから”じゃなくて“自分がこの道を選んだから”って本人が思えないと成功しないんです。マネジメントは私の天職だけれど、タレントが自分の人生を取り戻したいと思っている時は、本人に羅針盤を返してあげないといけない。そんな時は私も自己否定に陥りそうになるので、別のタレントの方を向くようにしています。

 


愛するものたちがピンチなら
60歳からでもまだまだ頑張れる!


青木:仕事の悩みは仕事で解決されるんですね。社長は結婚されていて“妻”でもあるわけですよね。これまでのお話を聞いていると1に仕事、2に仕事という感じですが、社長と妻の役割バランスはどんなふうにとっているんですか?

渡辺:妻としてやらなければいけないことの優先順が高いものは、もちろんそちらをやります。ただ、仕事とプライベートの線引きという意味では、見事にできていないですね。それは、天職だと思えることを仕事にできているということであり、幸せなことだと考えています。

青木:夫の吉田正樹さん(同社・代表取締役会長)との会話も、いつもワタナベのタレントの話ですよね。

 

渡辺:私の仕事は、人を活かす仕事だと思っているんです。もちろん、社員も含めてね。だけど人を活かすって相当高度な技術が必要だから、夫である吉田さんとも自然と仕事の話が多くなりますよね。お互いの関係性も含めて、人を活かすことを通じて、自分の人生を磨かせてもらっている感じかもしれません。私は青木を含め、いろんな人たちの気持ちを、泥臭い状態のまますくい上げたいと思っていて。きれいごとになってないか、リアルな感触は失われていないか、常に自問自答ですね。私の仕事に完璧はないし、答えもないと思っています。

青木:そう思ってくださるプロデューサーと一緒に仕事できるのは、すごく幸運なことですし、タレントとしてはありがたい話ですが……社長って、プライベートでダラダラしないんですね。

渡辺:全然ダラダラしますよ。リラックスするのは大好きだし、そもそもいったん休み始めちゃうと何もしなくなるような、ぐうたらな子どもだったの、私。大人になって変わったけどね。

青木:いやぁ、まったく想像がつかないですね(笑)。

渡辺:本当はね、昨年60歳になったじゃない? いよいよ引退も現実的に考えないとなって思っていたんです。そんな時に、このコロナ禍になって。引退どころか、完全に陣頭指揮に戻ったわけだけれど、今はこのピンチを乗り切るためにアドレナリンを出しながら頑張ってやっています。