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渡辺ミキ社長が語る芸能マネジメントの面白み「二人三脚の紐が解ける時が一番つらい」

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青木:社長のエネルギッシュさには、頭が下がります。「困ったことがあったら言ってください」って、タレント全員にメールを送ってくださいましたね。この業界で働く方たちの多くは仕事が減っている状況が続いていますが、これからどんな風に変わっていくと思われますか?

 

渡辺:どう変わっていくかよりも、エンタメ業界をなくさないためにどう助け合っていくかが今の課題ですよね。演劇業界では野田秀樹さんが旗振り役となって、「緊急事態舞台芸術ネットワーク」という団体ができました。大小の劇団がみんなで手を組んで、どうやったら再開できるか、劇場の安心・安全をどう担保していくかを考える団体です。私もその団体の世話人の一員にさせていただいて、政治家の方に業界の窮状を訴えたり、助成金の問題について意見交換させてもらったりと、結構頑張っているんです。

 

青木:社長が狂おしいほど好きな世界を守るために、命を張っているのがこちらにも伝わってきます。

 

渡辺:こんな時代だからこそ、人間は今囚われている悩みやストレスからジャンプアップさせてくれる作品や音楽が必要なんです。だから、芸能・エンタメ業界の火は、絶対に消しちゃいけない。演劇界の役に立ちたいと思いながらも役に立てなかった、20歳くらいの頃の気持ちが甦りますね。業界のために奔走させてもらっている今、60歳で業界がこのピンチを迎えたことはもはや運命だと思っています。

青木:「私たちも歳も重ねてきたし、変わっていかないといけないよね」という話をイモトさんともしていて。「私は会社を支えますよ!」って宣言したんですけど、まあ誰も頼んでないと思いますけどね(笑)。それでも、エネルギーが戻ってきたんだなって、自分で思います。

渡辺:そうね。青木が元気になるのは、「私が支えますから!」っていう気持ちになっている時だからね。これからも一緒に、具体的な夢をたくさん叶えていきましょうね。そして、新しい夢を作っていきましょう。

青木:はい。ついていきます。ついてきて下さい(笑)。

 

 

渡辺ミキ Miki Watanabe
1960年、東京都出身。女優、ミュージカルプロデューサーを経て、1987年渡辺プロダクション取締役に就任。2000年にワタナベエンターテインメントを設立。俳優・ミュージシャン・芸人など数々のアーティストを発掘、育成。主なプロデュース作品は『宮本武蔵(完全版)』(第24回読売演劇大賞優秀作品賞受賞)『ザ・ヒットパレード〜ショウと私を愛した夫〜』『関数ドミノ』『PIPPIN』等。9月には本多劇場にて『物理学者たち』を上演。昨年よりコロナ禍で設立された「緊急事態舞台芸術ネットワーク」世話人を務める。


青木さやか Sayaka Aoki
1973年、愛知県出身。フリーアナウンサーとして活動、その後タレントの道へ。以降、バラエティ番組やドラマ、エッセイの執筆など幅広く活躍中。近年はYoutubeチャンネル「犬と猫とわたし達の人生の楽しみ方」などを中心に、動物の保護活動にも力を注いでいる。2020年12月にはニール・サイモン作、三谷幸喜演出の舞台『23階の笑い』に出演した。今年5月にはエッセイ風小説を出版する。

撮影/塚田亮平
ヘア&メイク/林 達朗
取材・文/金澤英恵
構成/山崎 恵

 

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