「リバースモーゲージ」は、おひとりさまにも向いている

 

中村実はこの「リバースモーゲージ」は、独身で遺産を相続する人がいない、という方にも向いている仕組みなんですよ。

例えば、40代くらいの方でひとりで生きていこうと決めて、「一生一人で家賃を払い続けるのは大変だから、マンションを買おう」という方もいると思います。

そうして自宅を購入して、ローンを払い始めたら、亡くなった後、不動産の行方など、将来のことも気になるのではないでしょうか。その際、もし相続人がいない場合は、「リバースモーゲージ」を考えることも一案です。

例えば兄弟など、相続人がいれば、不動産の売却を頼むこともできますが、頼む人がいなければ、気に入って購入した自宅が、ずっと空き家になってしまうなどの問題が起きてしまいます。

その点、「リバースモーゲージ」にしておくと、住宅ローンの団信(団体信用生命保険)には入れないのですが、自分が死んだときにローンが残っていても、相続人がいれば、不動産を売って返して終わりますし、相続人がいなければ金融機関がその役目を担ってくれるのです。

 

西山:「リバースモーゲージ」は、先々の持ち家の行き先が不安な人にとっての“終活”にもなるというわけですね。
ローンの支払いも自分のペースでできますし、60歳以降に収入がなくなっても、自宅を購入していたおかげで、そういう選択肢もとれる、という……。

中村はい、まさに、「お金を不動産に替えた人が、使える手段なんですよ」と、私もご相談に来られた方にお伝えしています。

賃貸の場合は、家賃を払っていても、何か資産が残ることはありませんが、住宅ローンを組んで家を買った人は、お金を不動産という自分の資産に替えている、というわけですから。

片岡:そう考えると、住宅購入は、本当に長い目で考えた方がいいのですね。

中村はい、もし40〜50代の独身の方が家を買おうと思ったら、「リバースモーゲージ」という選択肢も頭に入れたうえで、20年後の資産価値を考えて買うことをおすすめしたいですね。
立地のいい場所や、古すぎない物件がおすすめです。買う時点で必ずしも新築である必要はありませんが、「20年後にどうなっているか」をイメージして選んでいただけたらと思います。

取材・文/西山美紀
構成/片岡千晶(編集部)

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