【Case3.鎌倉在住の子育てママのリアル】

材木座海岸に沈む夕陽。ここはバリ…?それともハワイ…?と思わせるほど感動的なサンセットに出会えることも。


バイタリティーある母が多い街、鎌倉

今回コロナ禍で移住したママたちに話を伺うことができなかったので、移住歴3年の茜さんに子育て&ママ友事情を尋ねると、開口一番「こちらのお母さんたちはみんなエネルギッシュ!」という答えが。自分で何かを作ったり教えたり起業するような方が多く、思いつくだけでもここ1年で5、6人が事業を始めたと言います。紅茶屋、ポルトガル食材専門店、ヨガ教室の運営、ハンドメイド作家などなど。自身も医師として働く茜さんは、「鎌倉に来るまでは、学校を出て就職するという一般的な働き方の人しか見たことがなくて、ここまでバイタリティーのあるお母さんに出会ったことがなかった」と話します。

 

ママの年齢層は高めで、デザイナーや自営業など、フリーで働く人が多いのだそう。彼女が出産したのは35歳の時。それまで暮らしていた川崎では年上の部類だったけど、鎌倉では茜さん世代が普通で、もっと年上のママさんも多いと言います。一流大学を出てバリバリ働いていたような方もいるけれど、みんな気取らず明るい方ばかり。海側エリアの住民が通う小学校では、授業参観に来る親の半分がビーチサンダルという光景も普通だとか。

子育ては湘南でしたいということで、移住者の多くが子供が幼稚園のタイミングで引っ越すことが多いと言います。学童では海や山にフィールドワークに行くなど、自然豊かな環境で子育てができるので、やはりそこは何にも代えがたいと思う方が多いようです。

ハワイ、カリフォルニア、イタリアのアマルフィ海岸など、世界の名だたるリゾート地に似ていると評されることも多い湘南エリア。景色はもちろん、流れる空気感やそこに集う人々の雰囲気にも近しいものがあるのかもしれません。

もう1つ、茜さんが鎌倉で子育てをする上で驚いたのは、子供たちが小学校の垣根なく遊ぶ姿だと言います。

「私が住む鎌倉駅周辺には国立の附属小学校と2つの公立小学校がありますが、みんな由比ヶ浜の前にある海浜公園に集まるんですよ。そこでは学校も年齢も関係なく友達になって、喧嘩の仲裁に別の学校のお兄さんが入る、なんていうこともザラ。先日も息子が駅で中学生のお兄さんに会ってハグしていましたが、どうやら別の小学校の卒業生のようで。どこに行っても知り合いがいるから、子供は挨拶しまくりながら街を歩いていますよ(笑)」

茜さんが言うように、鎌倉は小さい街だからか、外出していると知り合いに会う確率が異様に高いように思います。それもあって、「この街に住んでいるんだ」という実感と愛着がより湧くのかもしれません。

多種多様な価値観を受け入れる土壌があって、自分だけのこだわりやモノサシを持つ人が自然と集まってくる湘南という土地。完全移住とまではいかずとも、友人たちと共同でセカンドハウスを借りてみたり、ちょっとしたアクションを起こすだけで、日々の暮らしが豊かになるかもしれません。

取材・撮影・文/井手朋子
構成/小泉なつみ


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