米国在住かつワクチン接種経験者の山田悠史医師が、高齢の母親を心配する方からの質問におこたえします。

 

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【質問】
89歳の母が介護療養型施設にいます。基礎疾患があり、多数の薬を服用しています。コロナワクチンを接種したほうがよいのでしょうか。接種をしてもしなくてもリスクがありますが、先生の考えを聞かせてください。 


昨日は、「リスク」の考え方についてお話ししました
今日は、「予防接種を受けないリスク」と「予防接種を受けるリスク」について考えていきたいと思います。
 

予防接種を受けないリスク


私たちは、感染症から身を守るために、免疫がとても重要な役割を果たしていることを知っています。また、この新型コロナウイルスは、まだ感染したことがなければ誰にも免疫がないことを知っています。

この先コロナウイルスが根絶されれば別ですが、残念ながらこのウイルスが根絶するという現実はなかなか迎えられそうもありません。

そんな中、今この瞬間はもしかするとあなたの住む地域であまり感染流行が起こっていないかもしれません。しかし、これからの1年を誰が正確に予測できるというのでしょう。いつどこでまた感染流行が起きても不思議ではありません。

そこで、このワクチンの存在が鍵になります。ワクチンは免疫がない方にも「防災訓練」の機会を提供することで、コロナウイルスに感染することなく免疫をもたらしてくれます。
 

ワクチンの「効能」


このワクチンは、9割を超えるような高い割合で、感染症や重症化から体を守ってくれることが知られています。

これは、高齢のお母様にとっては、なおさら大切な問題です。一度の感染で命にも直結しうる感染症のリスクが日常生活に潜んでいるからです。しかし、予防接種によりこのリスクを大きく下げられることがわかっています。マスクで例えれば、内蔵型の丈夫なマスクを装着するようなものです。

また、施設のみんなで予防接種を受けることで、その施設に免疫の「防護壁」のようなものを築き上げることができ、施設全体を感染から守ることにもつながります。ワクチンにはこのように自分だけでなく人助けの意味もあるのです。

逆に言えば、予防接種を受けないという選択は、感染症のリスクをこの先取り続けなければならないことを意味しています。
 

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