人との会食の機会がぐんと減る中、ついつい忘れてしまいがちな「食事」のマナー。おうちご飯は人目を気にせずリラックスできるぶん、食事マナーも雑に……という筆者のような方も少なくないかもしれません。しかし、大人の“美しい食べ方”は一日にして成らず。いつ誰と食事に行っても、品よく堂々とふるまえたら素敵ですよね。そこでぜひ参考にしたいのが、ふるまいコンシェルジュ・髙田将代さんの著書『なぜか大切にされる女性になるマナーと心得56 オトナ女子のふるまい手帖』です。所作から言葉遣い、そして心がけに至るまで、「美しいふるまいとはなにか?」を丁寧に教えてくれる本書。今回は特別に、おうちでも実践できる美しい食事の所作、そして大人になっても迷いがちな“会席料理”のマナーについてご紹介します。

 


【食事のふるまい/おうち編】
一人ごはんの時こそブラッシュアップタイム


食べ方には品性が出ます。日常生活を想像させるとも言います。あらたまったシーンでも自信をもってふるまえるよう、まずは、お箸の使い方、器の扱い方を美しくしましょう。日々の食事こそ大切に。一人の時こそ、ブラッシュアップタイムです。食べ方がきれいで損をすることなんてないのですから。

まずは次の5つのポイントに気をつけるようにしましょう。

 

①箸の上げ下げを美しく、流れるように
箸は三手で取ります。お箸の真ん中を右手で上から取り上げ、左手で下から支え、右手を滑らせて持ち替えます。置く時も、左手で下から支え、右手を滑らせて上から持ち直して、そっと置きます。この一連の動作を丁寧に、流れるようにすると、とてもきれいです。繰り返すことで手馴れます。指先までそろえる意識を忘れずに。また、実践するためには箸置きが必須です。箸を置く時は、箸置きから端先が2.5センチほど出るように置きましょう。

②ひと口のサイズを意識する
箸先五分、長くて一寸という言葉を聞いたことがあるでしょうか。あまり箸先を汚さずに(長くても3センチ)いただくということです。意外と難しいのですが、ひと口が小さめになり、会話をあまり遮らず、美しくいただける適量を、口に運ぶことができます。丁寧で品のあるいただき方になります(*一寸は3センチ、五分はその半分)。

③器の扱い方
器は両手で扱います。手のひらにのる器は、すべて持っていただきます。置いたままいただく器には、左手を添えましょう。昔は一人ずつ、床にお膳を置いて食事をしていました。お膳の高さは低いので、その都度、器を持ち上げていたことから、器を持つようになったと言われます。また、お米への尊敬の念からとも言われています。
 

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箸と器の扱い方
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