生理の情報発信、
男女で行うことで新たなステップへ


最上:ところで、生理や性教育に関する活動って、見渡すと女性が主体となって発信している場合がほとんどですよね。
多くの人に知ってもらうためには、僕らはそれでは少し足りないのではないかと考えています。
たとえば、よく啓蒙活動のアイコンカラーに使われているピンク色。おそらく多くの男性は、それを見た瞬間に、「これは自分には関係ない話だ」と判断してるでしょう。

編集部:確かに最近、ミモレでは吸水型ショーツの記事が注目を集めていますが、それを男性が読もうとは思わないでしょうね。

最上:社会全体の変化や意識の改革を目指すなら、今は残念ながらまだ男性ばかりの意思決定権層の理解を得ることは欠かせません。性教育を管轄する文科省しかり、多くの理解を深めていくには、女性が女性のために発信するだけでは届きにくいのです。
『スポ止め』の活動が特徴的なのは、競技や性別の垣根を越えていこうという意識です。コロナ禍の影響で競技別になっていたスポーツ界の横のつながりができた今こそ、生理の問題をみんなで取り組むチャンスなのです。
『1252プロジェクト』の記者発表会では、『スポ止め』共同代表であり、元ラグビー日本代表主将の廣瀬俊朗が伊藤さんと生理についての対談をしました。今日の取材に男性の僕が同席していることも、きっと大きな意味があるのではないでしょうか。

『1252プロジェクト』の記者会見にて。動画はこちらより

編集部:今回のプロジェクトに関して、周囲の男性からの反響はいかがですか?

最上:今のところ、きちんと説明をすれば理解してくださる方ばかりです。なかでも学校の先生方は、「こんな素晴らしい取り組みがこれまでなかったなんて」と応援してくださいます。

 

伊藤:もともと、スポーツは教育、身体を知ること、食事、コミュニケーションなど世代や性差を超えて様々な要素を含んでいるので、じっくりと丁寧に取り組んでいけば、社会に変革の狼煙を上げられるのではないかと思います。『1252プロジェクト』の活動が、トップアスリートから部活動を頑張っている学生、またそれ以外の人たちへと情報発信の裾野を広げることに繋がっていくと嬉しいですね。

 

近年、女性たちが声を上げてきたことで、陰でこそこそすべきことだった生理の話題がオープンなものになりつつある今、『1252プロジェクト』は、“男女がともに学ぶ”という次のステップを提案してくれます。

最上さんによれば、今後、婦人科の医師と提携した教育コンテンツの作成、伊藤さんをはじめとするトップアスリートの生理とスポーツの体験談の発信を通じて、女子学生アスリートに寄り添っていきたいとのこと。
ミモレでは、これからも折に触れ、このプロジェクトを見守っていきたいと思います。

撮影/嶋田礼奈(講談社写真部)
取材・文/村上治子
構成/片岡千晶(編集部)

前回記事「オリンピック中に生理が...トップ選手がピル服用を後悔した理由【元競泳日本代表・伊藤華英さん】」>>

 
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