前回の記事では、人の脳は加齢とともに成長し、またトレーニングによってそれを維持できる可能性があるということをお伝えしましたが、経験を得て賢くなっていくのは、決して脳だけではありません。実は免疫も同じです。

 

人間の体は、日々様々な病原体に晒され、感染症のリスクと向き合い続けています。しかし、そのような感染症に滅多にかからなくて済むのは、免疫の働きのおかげです。
見知らぬ病原体が体の中に入ってくると、免疫はそれに立ち向かい、その働きのおかげで細菌やウイルスといった病原体を駆除できるのですが、一度侵入された病原体には再び体が侵されることがないよう、その病原体に対する免疫を記憶しておくことができます。
また、その記憶は相手が特定のウイルスなら、場合によっては数十年単位で続くと考えられています。

 

免疫を担当する細胞一つ一つの働きの推移を見てみると、確かに70代や80代になると多かれ少なかれ衰退が見られてくるものの(参考文献1,2)、40代から60代にかけては、若い頃と比べてより多様な病原体への免疫を獲得できているということが知られています。

 
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