あるとき、いよいよ耐え切れなくなった聡美さんは義母に相談しました。すると、義母が涙ながらに「私が悪かったのかもしれないわね」と、夫の少年時代について語り始めたのです。義母は、夫を中高一貫の有名中学に入れようとスパルタ教育を行ない、小学生の夫の手に鉛筆を突き刺しながら勉強をさせていたというのです。その結果、夫は有名中学に合格しましたが、合格したときには感情をまったく表に出さない子になっていたということでした。義母は「息子をお願いします」と泣きながら頼んできましたが、「子育ての失敗を私に押しつけられても……」というのが聡美さんの本音でした。

その後、再び夫の八つ当たりのような暴言を受けた聡美さんは、実家に戻り、離婚調停を申立てました。世間体を気にする夫は離婚に難色を示し、調停は揉めに揉めましたが、2年後に無事、離婚が成立しました。

 

いかがでしたでしょうか? これはけっして聡美さんだけに起こった特別なものではありません。むしろ、いわゆる「エリート」と結婚した女性には誰にでも起こり得る問題と思います。高収入を得る「エリート」は、やはり収入に比例して労働時間が長くストレスが溜まりやすい。それは避けられない事実であると言わざるを得ません。

 

私がこれまで3000人の離婚相談を受けてきた経験から申し上げますと、モラハラをする配偶者には、よくよく観察すれば際立った特徴があります。

【モラハラ男の特徴】
① 自分を正当化し、悪いことは人のせいにする
② 頭の回転が速く話はうまいが、自分の意見を押し通す
③ 会話のキャッチボールができず、気づけば自分の話になっている
④ とにかく外面がいい
⑤ 他人を見下すような振る舞いが多い
⑥ すぐに激昂して暴言を吐く
⑦ 周囲からは「頼りがいがある人」と思われている
⑧ 高学歴・高収入だが、重度のストレスを抱えている
⑨ 親から十分な愛情を受けていない。もしくは、スパルタ教育の中でいい子を演じてきた

モラハラの相談を受ける際に、本当によく耳にするキーワードが「いまから思えば」です。皆さん、「おかしいな?」と直感的に思ったことが一度や二度はあったらしいのですが、気のせいだとして見逃してきたと言うのです。自分の本能は事前に危険を教えてくれていたのに、実にもったいない話です。