ダンディとコミカル……正反対の色気を味わうべし


そして、個人的にどうしても語りたかったのが藤竜也と井上順です。井上順は今年74歳、藤竜也は今年でなんと80歳! 便宜的に“モテ爺”とカテゴライズしておきますが、その呼称がはばかられるくらい現役感バリバリ、色気だだ漏れ。R指定すれすれの二人でございます。

まずヒロインの祖父役・藤竜也ですが、実に渋味たっぷり、ダンディズムの塊のようなお方です。記事を書くにあたってプロフィールをチェックしたら、奥様が芦川いづみと知って腰を抜かしました。芦川いづみは1950~60年代に日本中を席巻したアイドルで、今でいうところの綾瀬はるか、石原さとみ、もしくはそれ以上の人気を誇った伝説の女優です。なんと藤竜也は、無名時代にこの天と地ほど格差のある6歳年上の女優と結婚しているのです。平凡な男なら逃げ出してしまうところですが、彼は世間の好奇の目をものともせず愛を貫いた。これだけでもおつりがくるほどの男気あふれるエピソードですね。その反骨精神を今も表情に宿す彼は、寡黙だけど困った時には的確な助言をくれる素敵なおじいちゃん像を見せてくれるでしょう。

ヒロイン・百音の祖父、永浦龍己を演じる藤竜也。写真提供:NHK

対する井上順は、「東京編」で気象予報会社の社長を演じるそうです。この方、コミカルなイメージのせいでかすみがちですが、掛け値なしのハンサムですよね。しかも、若い頃から見た目がほとんど変わっていない。でも筆者は、外見よりも彼の飛びぬけたユーモアセンスに憧れを感じています。子どもの頃よく見ていた歌番組『夜のヒットスタジオ』では、司会の芳村真理やゲストの歌手を相手に絶妙なダジャレ&毒舌を繰り広げて場を和ませていました。ひどいことを言っても憎まれないのは、根底に相手への敬意があったからでしょう。相手を引き立てるために道化に徹することができる、最高にカッコいい大人ですね。ちなみに、今回の社長役は飄々としているそうで、まさにうってつけだと思います。

 


水と油ほど異なる個性を持つ二人ですが、ある共通点を見つけてしまいました。なんと二人とも、大々的に「全裸」をご披露した経験があるのです! 

藤竜也は言わずと知れた禁断の映画『愛のコリーダ』。“本物”の濡れ場を劇中で展開し、世界中に波紋を呼びました。一方の井上順はというと、1992年の『新春スター・かくし芸大会』で『ターミネーター2』のパロディドラマに出演し、しかめっ面にすっぽんぽんという間抜けさでしっかり笑いを取っていました。この身体を張った仕事ぶりは高いプロ意識のなせる業。そんなところにもひしひしと二人の男気を感じます。

以上、最後までお付き合いいただきありがとうございました。独断と偏見だらけのイケメン論でしたが、『おかえりモネ』鑑賞時の参考にしていただけたら幸いです。
 


構成/山崎 恵


前回記事「朝ドラ『おかえりモネ』清原果耶が体現する「王道」に期待!【2021春ドラマ】」はこちら>>