② 10年後にいくらで売れるのか、という視点を持つ


中村:不動産投資で2018年に大きな問題になった、“かぼちゃの馬車”というキーワードを聞いたことがあるでしょうか。
女性専用シェアハウスを業者さんが高めの金額設定でローンつきで販売して、サブリース契約をしたものです。

サブリース契約とは、物件を一括で借り上げて、一定額の家賃保証をするもの。保証されていてる家賃設定(サブリース賃料)は低めですが、空室リスクを軽減できる点から、選ばれることもあります。

ただし、この問題では、そもそも設定されていた物件が高めだったことや、空室の際の家賃保証も行われなくなったこと、ローンを組んだ金融機関にも問題があって無理なローンを組んでいる人が多かったために、数百人のオーナーさんが大きなローンを抱えて家賃収入も得られない、という大問題になりました。

 

西山:私もニュースで見ました。不動産投資はうまくいっているときはいいですが、問題が起きたときの金額が非常に大きく、いかに事前に問題にならないようにチェックしておくかが大事だと感じました。

 

中村:そうですね。この問題のように、高いローン付きの物件というのは、そもそも年収の高い人に限られることにも要注意です。
買う人が限られる物件というのは、売るときにすぐに売れません。不動産を買うときには、「売るとき」のことも考えることが非常に大切ですね。

ただし、買ってから5年以内に売ると、利益が出た場合の税率が高くなるので、一般的には5年を超えて物件を保有することになると思います。
そのため「10年以上たったときに、いったいいくらで売れるのだろうか」をぜひ考えてみていただきたいです。

年収が高い人しか買えない物件であれば、買い手がつかないかもしれません。売りたいときに売れなければ、それは「投資」とはいえないと思います。

西山:不動産投資を始めるときは、ワクワク感があったりして、その後の売るときまで考えるタイミングを持たない方も多いかも……。
不動産の会社から「売るときのこと」についてはあまり言及されないでしょうから、知識としてもったうえで検討しないといけませんね。

中村:そうですね。実際に「不動産投資」で困っている方は、たくさんいらっしゃいます。例えば、3000万円でマンションを買ったとして、ローンが2500万円残っているときに、いざ2500万円で売ろうと思ったら全然売れず、でも2200万円なら買い手がつくということであれば、自腹で300万円を出すことになるので、ちょっと考えてしまいますよね。

それならしばらく保有しようと思っても、一定の家賃収入がずっと続くとは限りません。思ったように家賃収入を得られなければ、ローンを返済できなくなってしまう恐れがあります。
この先数十年のうちに、入居者が何回入れ替わり、エアコンや給湯器などの交換がどれだけ必要で、マンション自体の修繕積立金がどれだけ上がるかなどを購入時に想定していなければ、収支がうまくいかずに窮地に陥る可能性があるのです。

自分が住むマンションなら、事前にある程度想定しているはずですが、不動産投資となると、その先のことまで想定しないまま踏み出してしまう方もいらっしゃいます。

西山:事前に知識があれば、大失敗は防げたはずかもしれないですね。

中村:そうなんです。やはり、前回の記事でもお伝えしましたが、不動産投資を始めたい方は、「1年かけて100冊本を読んでください」というアドバイスに尽きます。
本を読み始めれば、ネットでエリアや価格帯などを調べたりと、どんどん勉強されるはずですから。

もちろん、不動産投資で成功している人もたくさんいるので、勉強をしっかりしておけば、怖いことばかりではありません。

西山:例えば「独立起業」の場合も、成功してる人もいれば、失敗してる人もいる、ということに近いかもしれませんね。
じっくり調べて勉強して失敗してしまうケースもあれば、何も考えずに始めても運よく成功するケースもあると思いますが、やはり事前にしっかり調べて勉強してから一歩踏み出した方が、大きな失敗を防げるということに似ている気がしました。

中村:その通りですね。「大きな失敗をしたくない」という方は、やはり事前準備が非常に大切だと思います。
 


③ 万一「失敗した」と思ったときの対処法を知っておく


西山:すでに不動産投資をしていて、「失敗した」と思った人はどうしたらいいでしょうか。入居者が全然入らなかったりして、ローンをうまく返せないと困っている方もいると思います。

中村:不動産投資は、「賃貸事業」をしているわけですので、まずはなんとかして空室を埋めるために、努力しなくてはなりません。
ご自身でできるならしていただきたいですし、できなければ不動産のコンサルを探してみるのも一つの方法です。

また、物件を手放す方法もあります。つまり、痛手が大きくならないうちに、低い値段だったとしても売ってしまうのです。主にこの3つでしょうか。不動産投資で失敗したと思ったときに、ウルトラCのような、うまい切り抜け方はなかなかないんです。

やはり、「大きな失敗」とはどんなケースがあるのかを事前に知っておき、それを少しでも避ける形で始めることが大切だと思います。
 

取材・文/西山美紀
構成/片岡千晶(編集部)


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