「そういうのが好きな人が予約すればいい」のでしょうか。でも、その予約した親当人は良くても、子どもはどうでしょうか。彼氏的ふるまいを強要してくる母親、それにホテルの人まで加担してきたら? 子どもは放っておいても親の考えに影響を受け、支配されがち。「一般的なマナーを身に着ける」ならともかく、母親を喜ばせるためのスキルを身に着けていくことが組織的に社会的に支援されるべきことなのでしょうか。

このプランは博報堂こそだて家族研究所の調査による、「キュン!と心躍るようなトキメキが必要と思っているママの割合は約9割」であるのに対し、「実際にトキメキを感じているママは半数に満たない」、さらにトキメキを感じる対象としては「子どもが8割」……というデータをもとに設計したそうです。

しかし、そもそも夫はどこへ行ったのか、確かに子どものふとしたしぐさでトキメキなるものを感じるかもしれないが、それはプランで事前に計画して得られるものなのか、母親が必要と思っていることを子どもが提供してあげないといけないものなのか———。様々なツッコミどころがあります。

 

子どもと二人きりの旅行自体はいいと思います。当該リゾートが出した宿泊プランには託児付きのワーケーションプランなどもあり、多様な家族の在り方、旅の仕方が広がってほしいとは思います。しかし、炎上のたびに思うことではありますが、なぜ誰も事前に、「ちょっとこれはどうか」と言えなかったのか。

 

今回は単にジェンダーの問題というだけではなく、親子の在り方、描き方が場合によって子どもに抑圧的になる可能性があり、削除された内容を掘り返すのも申し訳ないですが書かせていただきました。

2分の1成人式等にも言えることではありますが、子どもは親を感動させるために存在しているわけではありません。このことを広告業界の方々、家族向けサービスにかかわる方々は肝に銘じておいてほしいです。
 

前回記事「「生活」に追い詰められる母子たち...映画『明日の食卓』が描く日本の現実」はこちら>>

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