「レズ風俗」って聞いたことはありますか? 永田カビさんの『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』(イースト・プレス)で注目が集まりましたが、実際にどんなところで、どういうことが行われているか、体験したことでどんな気持ちになるのか、といったところはなかなか伺いしれません。コミックDAYSで連載中の漫画『愛されてもいいんだよ』は、セクハラに強く言い返せない自身にも社会にもうんざりしていた一人の女性が、レズ風俗で働き、自分を変えていく物語です。

とある会社で試用期間中の23歳の木村倫。特にやりたいことがあるわけではなく、少々強引な男性上司からのランチの誘いも断れず、本採用をエサに言い寄ってくるのに毅然とした態度を取れずにいます。さらに、周囲の社員には上司に媚びているかのように噂されてしまい、何もできずにいる自分にモヤモヤしています。

 

気乗りしないながらも、職場の飲み会に出席した倫ですが、上司にやりたくもないお酌をして、それを見た女性社員に陰口を叩かれ、「好きでやってるわけじゃないのに」と耐え切れずトイレに逃げ込みます。なんで自分がこんな嫌なことをしなきゃいけないのか、誰もやさしくしてくれないのはどうして? と目の前が真っ暗になってしまいます。

 

そんな時、一人の快活そうな女性が倫に「アタシ具合悪いんだけど介抱してくれない?」と声をかけますが、どうみてもその女性は具合が悪そうに見えません。でも彼女の言われるがままに公園まで行って、会社の飲み会を抜け出すことができました。彼女が助け舟を出してくれたことに気づいた倫はその心遣いにうれしくなります。でも、彼女が倫にぶつけたのは、「あんっなセクハラされてさあ なんで何にも言い返さないわけ? よっわ ほんとにそんな人生でいいの?」というきつい一言。ずっと自分の中で感情を押しとどめて我慢を続けてきた倫は、思わずボロボロと泣き出してしまいます。

 

何をやってもだめ、特にやりたいこともない、自分は弱くて何もできないという心の内をこぼす倫。そんな倫に対して、女性は「2万円でアタシの2時間買って 人生変わるよ」と持ちかけます。

 

女性同士なのにどういうこと? と動揺する倫に、「うちの店、これだから」とスマホに表示された「レズ風俗」のサイトを見せる女性。ますます動揺してしまう倫ですが、「人生が変わる」という彼女の言葉に背中を押されて、思い切って彼女を“買う”ことに決めました。連れて来られたのはラブホテルで、そこで初めて女性が諒という名前であることを知ります。女性同士の経験が初めての倫でしたが、諒がやさしく倫に触れ、どんな自分も受け止めてくれたことで、今まで感じたことがない快感を得ることができ、何よりも自分が素直になれたことに心地よさを覚えたのです。

 

そんな経験を経て、自らも「レズ風俗」のキャストになることを決めた倫が、いろんなお客さまやキャスト、店長などとの交流を通して、少しずつ成長していく物語です。自分に自信が持てなくて、いろいろ思うところはあってもそれを押し殺してしまいがちで、仕事や人間関係で疲れ果てている倫のような女性はきっとたくさんいるはず。たまたま倫は「レズ風俗」という世界に飛び込み、感情を素直に表すことができるようになりました。そんな倫が、今度はキャストとして女性たちを癒やしていきます。

 

また、肉体的な快楽だけでなく、誰かがそばにいて肌のぬくもりを感じ、自分の話を聞いてもらえるだけでもほっとできることってありますよね。それに、お金が介在する“お仕事”だからこそ、キャストはプロに徹してお客さまにひとときのやすらぎを提供できるし、客の側もふだんの生活や人間関係から完全に切り離された相手だからこそ、自分の辛いことを口にしたり、密かな願望を叶えたりすることができるのでしょう。この作品は、『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』で永田カビさんが利用した「レズっ娘クラブ」グループの代表・御坊さんが取材に協力していることもあり、随所にリアルさが感じられます。かといって性描写が過激なわけではなく、女性同士の心の交流を丁寧に描いた作品です。マンガを通して、見知らぬ世界を覗いてみたら、“人生が変わる”かも?
 

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愛されてもいいんだよ
天野しゅにんた 講談社

ときめき、快感、癒やし、全部あげる。ここは、あなたが自分を取り戻せる場所。23歳の倫は、試用期間中の会社でセクハラを受けるが、声をあげられない自分にうんざりしていた。「世界は私にやさしくない…」落ち込む倫の前に、 不思議な美少女・諒が現れる。「2万であたしの時間買って。人生変わるよ」と言い切る諒。倫がその手を取ると、導かれた先はラブホテルで――!? 絶対あなたを虜にする、秘密と祝福のレズ風俗ストーリー!(取材協力/御坊)