現代女性の摂取カロリーは戦後以下!
生理の天敵は“栄養砂漠” 


――ちなみに、松村先生はどうやってPMSを改善されたんですか?

松村:栄養学に詳しいカイロプラクティックの先生に、食事の指導をしてもらったんです。そもそも食事に注目したきっかけは、ポジティブ心理学を学んでいた時のこと。「補導される思春期の子どもの9割は低血糖である」という統計を知り、心には食事の質が大きく関与していると知ったことが始まりでした。モモさんの本にも、食事による改善方法がふんだんに盛り込まれていますね。

細川:生理痛・PMSと食事の関係性については、医学的な研究がまだまだ少ないことはお伝えしておかないといけませんが、最近の研究で徐々に解明され始めたもの、ビッグデータでわかったことなど、最新のものをご紹介しました。それと、独自の介入調査でも興味深い発見があって。ある企業の、20〜30代の女性社員だけで構成された部署を対象に行った調査です。そこはすごく忙しい部署で、女性たちの“朝食の欠食率の高さ”と“睡眠時間の短さ”が顕著でした。当然ながら生理痛やPMS、頭痛に悩まされている人がほとんどで。

 

松村:経験者なのでわかりますが、そんな状態だと仕事の生産性もなかなか上がらないですよね。

 

細川:そうなんです。女性ホルモンを円滑に分泌させるには、体重1kgあたり45kcal程度のエネルギーが理想とされています。でも、現代の日本女性の1日の摂取カロリーは終戦直後よりも少ない上に、長時間働く人ほどカロリーが大幅に不足してしまう。そんな“栄養砂漠”の状態だと女性ホルモンがうまく分泌されず、生理の悩みも増える可能性が高くなるんですね。

松村:本の中でも「朝食を抜いている人は生理痛が重たい」というアンケート結果を紹介していますよね。特に朝食を毎日食べる人とそうでない人は、「生理痛あり(寝込む)」の割合が全然違うことに驚きました。とはいえ、多忙な女性の食習慣を変えるのは結構大変ですよね。

▼朝食の頻度と生理痛について
 
※2019年 20〜50代女性1000人に行ったアンケート/日経BP総研との共同調査(『生理で知っておくべきこと』P149から抜粋)

細川:なので会社に冷蔵庫を設置して、朝ごはんがわり、またはおやつとして、1日1個高たんぱくヨーグルトを食べてもらうことにしました。彼女たちの欠食を補う形で「10グラムのたんぱく質」と「カロリー」を摂取してもらったわけですね。すると3ヵ月後には「生理痛やPMSが軽くなった」「痛み止めが不要になった」「休日もアクティブに動けるようになった」という声を複数いただいたんです。予想を上回る効果に私自身も驚きました。摂取する食材に「たんぱく質」を選んだのは、ホルモンをつくる材料になること、鉄分を体に吸収させるために必要な栄養素であることなどが理由です。