――食生活の変化というと、コロナ禍はテレワークにステイホームと、おうちで食事する機会が爆増した方も多いですよね。そんな中、「コロナ禍に生理痛が重くなる女性が増えた」という報道が話題になったのも気になるところです。

細川:特に一人暮らしの女性は、同じような食事を繰り返してしまいがちだと思うんです。冷凍パスタやカップ麺でパパッと済ませてしまうとか。栄養不足に運動不足、コロナ禍のストレスが重なれば、生理不順になる可能性も否めないと思います。深刻な事態にならないために大切なことは、基本的なことですが食事・運動に気をつけること。もうひとつは、生理やPMSの不調が続く場合は迷わず産婦人科を受診することです。

 

松村:コロナ禍で環境を変えるのは限界がありますが、メンタルヘルス的には、やっぱりこんな時でも“好きなことをする”のはとても重要です。自分の心がポジティブになることをやってあげる。それと“孤独”もよくないので、オンラインで誰かとコミュニケーションを取るのもいいと思います。

 

細川:生理前はネガティブなニュースは見ないとか、不安に絡め取られないためのメディアとの付き合い方も工夫すると良いかもしれませんね。

松村:生理の悩みの原因は一括りにはできないと思いますが、現代の働く女性やお母さんたちは「自分を大事にできていない人」がわりと多いと思うんです。例えば、夕飯は子どもの残り物を食べるから自分の食事は用意しない、外食の時も自分のオーダーはせずに子どもの余りものを食べる、とか。そんなことでは栄養も不足しがちになるのは明白です。

細川:自己犠牲に対するハードルが低いのは、それを美徳だとする日本の風潮があるからかもしれませんね。生理前はただでさえ「心の安定」を担うセロトニンが不足しがちになるので、自己犠牲ばかり繰り返していたらさらに心が擦り減って、イライラが暴発しやすくなるかもしれません。

松村:だから、良妻賢母なんて目指さなくていいと思うんです。一番大切なのは“わたし”であって、妻や母という役割ではないわけですから。ポジティブ心理学には“セルフ・コンパッション”という概念があります。これは“自分への慈しみ”という意味。心理学者の私としては、“周囲に幸せでいてもらう”ためにも、女性はまず自分を慈しむことを忘れないようにしてほしいなと思います。