子どもにしっかり「生理」の知識を伝えれば
「ごめんね」も言いやすくなる


――生理について広く語られ始めた今、たくさんの知識をいろんなところから得やすくなりました。ですが、子どもたちには「生理」の話をいつ、どのように伝えるべきか迷う方も多いのではないかと思います。

松村:我が家の場合は、長男と長女に結構早いうちから伝えましたね。小学校低学年くらいでしょうか。図鑑を見せながら、「月に1回、赤ちゃんができなかったら子宮から血が流れてくるの。その前にはどうしてもイライラしちゃうのよ」みたいな話をして。はじめて聞かせた時は「えー!」と唸っていましたが、私がふてくされていたりすると、「ママ、ひと月に1回のがきたの?」って聞いてくるようになって。私も「そうなの、いつものママじゃなくてゴメンね」って素直に謝るようにしていました。

 

細川:私の知り合いの女性で、PMSと更年期がとてもひどかった方がいて。子どもは息子さんがふたりでした。でもその女性は息子たちに将来パートナーができることを考えて、生理と女性ホルモンの暴走について中学生の時にじっくり話したそうです。それからは生理前になると、「今からお母さんは女性ホルモン大暴走期です!」「喧嘩したら1000万倍にして返します!」と宣言。1年くらい経つと「女性ホルモンってお母さんを別人格にするんだな……」と理解してくれたんだそう。

 

松村:今思えば私も娘の初経前に、女性ホルモンについてもう少し伝えられていたらよかったですね。気持ちが塞ぎ込んだりイライラしたりするのは思春期のせいもあるけれど、生理が始まって女性ホルモンが変化するせいでもあるんだよって。我が家の女性ホルモンのぶつかり合いは一旦収束しましたが、これからもコミュニケーションを取りつつ、お互いが「ごめんね」を言いやすい環境を作っていきたいですね

細川:思ってもいないことを口走ってしまうのも女性ホルモンのせいだと知っていれば、「私はなんて性格の悪い子なんだろう」と自己肯定感を阻害するような思考も減らせるでしょうし、仲直りしやすくなりますしね。そう考えると、生理や女性ホルモンについての知識を深めることって、女性自身はもちろん、家族や大切な人たちを守るためにも大切なアクションなんだということを改めて実感しています。

 

『生理で知っておくべきこと』
著者:細川モモ 監修:佐藤雄一(産婦人科医)、奈良岡佑南(医学博士)
日経BP  1705円(税込)

“病気ではない”ことからなかなか研究が進んでこなかった「生理」。なにが普通の生理で、どうすれば生理痛は軽くなるのか、6年間におよぶ約2万人の調査のデータを元に徹底的に紐解いていきます。初経から更年期まで、女性ホルモンの働きを知っておけば生理はもっとラクになる! 女性にも男性にも身近な生理について、最新知識をアップデートするためのバイブル的一冊です。


取材・文/金澤英恵

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