男と女、生きていく上でなぜこんなに出費に差があるのか


2019年10月の消費税増税の際、食品は税率8%のままだったが、生理用品を含むその他の生活用品は10%まで上がってしまった。私は増税までの間にちょこちょこドラッグストアを廻り、生理用品を買い溜めした。私はいつも、1パック30コ入りの2パックセットで298円の激安ナプキンを購入しており、一度の生理で1パックちょっと使う。私はこの激安ナプキンでも平気だが、少し高い敏感肌用のナプキンでないと生理期間を快適に過ごせない人も多いのではないだろうか。そういう人は生理用品の負担がさらに増えることになる。

増税前にナプキンの買い溜めをした私であるが、現在は子宮内膜症治療のために生理が3カ月に一度しか来ないタイプのピルを飲んでいる。生理痛が重くてピルを飲んでいる人もいるだろう。このピル代も他の先進国に比べると高い。アメリカなどではピルはドラッグストアなどで安価で簡単に手に入るが、日本では個人輸入を除き、処方箋が必要だ。私は治療用のピルで保険が適用されているが、それでも3カ月分で7950円もする。

著者の姫野桂さん(撮影:Karma)

女性は社会的マナーとしてメイクを強いられる場面も多い。いわゆる「就活メイク」なんてのも、まさに女性がメイクを強いられることの象徴だと思う。プチプラコスメからデパコスまで値段はピンキリだが、化粧品も消耗品であり、女性に必要なものである。

 

女性にはムダ毛処理問題もある。地道にカミソリ処理をしている人もいるが、今は美容サロンや美容皮膚科・外科も安くなっているため、サロン脱毛や医療脱毛をしている人も少なくない。私も医療脱毛済みの一人だ。過去に脇、両肘下、両膝上、両膝下、VIOを脱毛し、合計30万円ちょっとかかった。

女性は必要最低限の社会生活を送り、外見を保つための出費が多過ぎるように思う。男性は外見を保つために何をやっているのだろう。ヒゲ剃りと、健康を害すほどの肥満体型の人はジム代、薄毛に悩む人は育毛剤代といったところだろうか。しかし最近は男性のヒゲ脱毛も増えていると聞く。そういえばバンドマンの元彼もヒゲ脱毛に通っていた。

男と女、生きていく上でなぜこんなに出費に差が出るのであろうか。それなのに、男女では収入の格差がある。30代女性の平均年収は300万円を切って280万円台だ。私も会社員時代、内勤の事務職ということもあり年収が300万円弱だった。今は家事や育児に積極的な男性も多いが、家事育児のために残業と収入が少ない職を選ばざるを得ない女性もいる。女性手当のようなものを付ける等、男女の収入格差をなくす方法はないのだろうか。それか、男性の育児休暇が当たり前になって、男性が育休を取ったからといって出世できないということがないよう、男女ともに家事や育児を気にせず、同じだけの給与をもらって働き続けられる環境を企業側が整えてほしい。


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『生きづらさにまみれて』
(晶文社)姫野桂:著

『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)大ヒットのライター・姫野桂さん、待望の初エッセイ。毒親傾向のある両親に育てられた子ども時代、スクールカースト底辺の中高時代、ヴィジュアル系バンドの推し活と恋に青春を捧げた大学時代、発達障害の二次障害の双極性障害や摂食障害に苦しんだ就活やOL時代、ライター転身後に受けたモラハラ……「自己肯定感超低い女子」33年間の軌跡。


構成/露木桃子

 


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