1987年生まれのライター・姫野桂さんが、自らの生理体験について振り返りつつ、「生理の貧困」にも繋がる女性特有の出費の多さについて問題提起します。姫野さんの初エッセイ『生きづらさにまみれて』(晶文社刊)より一部抜粋。


初潮が来て嬉しい!?


2018年、それまでは強くタブー視されていた生理についての価値観が覆される小山健さんの漫画『生理ちゃん』(KADOKAWA)が大ヒットした。生理を擬人化し、ユーモアたっぷりに、かつ分かりやすく説明している漫画だ。生理は女性には毎月来るもので身近な存在だが、男性にとっては未知なる現象であり詳しく知らない人も多い。現に、私が交際してきた男性も生理の仕組みについてよく知らなかったし、知人の旦那さんは「理由は分からないけど毎月股から血が出るもの」と思っていたらしい。

 

ここで生理の仕組みについて改めて説明したい。健康な女性の子宮は妊娠に備え、日々子宮の内膜が厚くなって精子の受け入れ体制を整えている。この内膜が赤ちゃんを包むベッドになるのだ。しかし、受精しなかった場合、この内膜は古くなって剥がれ、体外へ排出されていく。これが生理だ。この排出作業は子宮が収縮しながら行われるので、腹痛や腰痛が起こる場合が多い。この痛みが生理痛だ。この生理痛も個人差があり、痛みを感じない人もいれば、嘔吐してまともに食事もできず、救急車を呼んだことのある人までいる。

私の場合、生理前は便秘気味になり、生理になった途端下痢気味になる。なので、子宮が収縮している痛みなのか腸の痛みなのかどちらか分からずトイレに駆け込むこともある。元彼に「生理の痛みは下痢の痛みに近い」と伝えたとき、時おり下痢気味で悩んでいた彼は「毎月1週間も下痢の痛みが続くなんて」と身震いしていたものだった。何はともあれ、ほとんどの女性は生理時、何かしらの不調を抱えている人が多いのだ。

小5のときに初潮が来た。生理については早い段階から母親から習っていたので、学校の休み時間にトイレに行ってパンツに薄茶色のシミがついていたことから、すぐにこれは生理だと確信した。大嫌いな担任教師だったがとりあえず「パンツに血が付いています」と報告。教師は保健室に行くよう指示し、私は保健室で養護教諭に生理用ショーツとナプキンをもらって処置をした。

正直、生理が来たことは嬉しかった。オシャレをしてもいい大人に近づいたのだ。これを人に言うと割と驚かれるのだが、その日は学校から帰宅して「ただいま」のすぐ後に父に「生理が来た!」と伝えた。すると父はスーパーの惣菜売り場で赤飯を買ってきて、その日の夕飯はいつもの男の手料理のおかずと赤飯が並んだ。母は私の洗濯物のショーツのオリモノの量が多いことから、近々生理が来ることを予想していたらしい。