「イドコロ」としての家族が抱えるリスクとは?

 

おそらく、ほとんどの人がイドコロとして真っ先に考えるのは「家族」ではないでしょうか? 家族は伊藤さんが挙げた自然系イドコロに分類されますが、自然系は獲得系よりも効果が長期間持続する反面、不和が生じると精神衛生上のダメージは大きいと、伊藤さんはそのリスクを指摘します。

 

「趣味の集まりの崩壊よりも家族のほうがダメージが大きいことは理解しやすいだろう。新興宗教は家族生活に問題を抱えた人を狙って勧誘を仕掛けることが多いが、これはダメージを受けて勧誘しやすい状態になっているからだ。自然系イドコロの効果は長期にわたるのでいいことも大きいが、予測しがたいリスクもある」

伊藤さんは「家族」から切り離された人々、なかでも都会のワンルームマンションに住むような単身者の動向を、このように見つめています。

「大家族イコール抑圧的なわけではない。だが、権威的な家父長制と一体化していたので人を苦しめ脱出を試みる人が増えたのであろう。一方で、常態化した単身の生活様式は、以前よりもイドコロが一つ減ったようなものである。だから他で補う必要がある」