M字型カーブというのは、結婚・出産の時期に労働を一時やめ、子育てがひと段落する40〜45歳で再び労働に参加する日本人女性の動向を表したもの。つまりM字の凹みが大きいほど、仕事を離れて家事・育児に専念する女性の割合が高い、ということです。

▼女性の年齢別労働力率の推移

 
※出所:ILOSTAT(2017.2.23)、『ILO労働統計年鑑』(世界の統計他)、日本は国勢調査のデータを基にした本川裕氏サイト『社会実情データ図録』に掲載された図を引用/本書P116より

大きな凹みを見せていた1990年台までと比較すれば、2015年時点の凹みはだいぶ小さくなっています。しかし、M字型カーブそのものは是正されていないのが現実。一方、スウェーデンはゆるやかなアーチ型を描き続けており、凹みがないのが特徴です。

 

「スウェーデンに関して、1960年代では女性の労働力率はわずか30〜40%前後でとても低く、日本よりも低かったのである。それが21世紀に入ると世界でも指折りの高さになる。女性が男性に経済的に依存するのではなく、自立の意識が高まったことがもっとも重要な理由である。さらに、子育て支援策が充実しているので、子を持つ妻も働きやすい」

では、日本のM字型カーブの凹みをスウェーデン同様のアーチ型に近づけるにはどうすればいいのでしょうか。

 

橘木さんが第一に挙げるのは、「女性が結婚・出産しても、家事・育児を夫が妻に押しつけないことが肝要」ということ。また、
・保育設備の充実といった子育て支援策の必要性
・夫が企業で長時間労働をせざるをえない構造を変える
・女性に企業が厳しい労働を課すことを避ける
・子ども手当の充実で経済的に子育てをしやすくする

といった女性支援・夫婦支援の方策を提言。加えて、職種別や企業による対策も必要だといいます。