子どもの歌の歴史には日本の歴史が反映

 


また、子どもの歌の歴史を勉強し直したのもこの頃だそう。

「“子どもの歌”と一言でいっても、明治の唱歌、大正の童謡、昭和の新しいこどもの歌と、生まれた時代も成り立ちも様々です。
どの時代にどの歌が生まれたのか、歴史を整理するために子どもの歌の100年の系譜を作りました。その時に調べたり覚えたりしたことが、今とても役立っています」

 

「古い資料を調べていると、レコード会社は、文字どおり音楽を通じてその時代、時代を記録(レコード)してきたのだということを感じます。
戦時中に敵機を聞き分けるために作られたレコードも時代の証です。
歴史の通過点にいる私たちが、その時代の何をセレクトし、音の記憶として残していくのかは大切な責務……そんなことを考えているうちに、私の中で、『自分も時代の音を残したい』という気持ちが沸き上がり、”そろそろ制作に戻ったら?”と声をかけてくださる人もいて、縁があり現在のキングレコードに転職しました」