吸水量を調査
5mLずつ水分を含ませると……

 


長谷川:生理悩みのトップである「モレ」って、前漏れ、横漏れが多いんですよね。日中、アクティブに過ごしている時は立っている状態なので、生理用ナプキンのCMみたいに吸収体全体に水分をジャーッと含ませるのでは、実際の経血の出方とはちょっと違いますよね。知りたいのはクロッチ部分の吸水量だから。

片岡:つまり、前から後ろまで水分をさーっと含ませる実験ではダメってこと?

長谷川:はい。経血はクロッチ部分で受けるため、この部分の吸水量や機能が優れていないと結局漏れてしまうような……。

片岡:では、クロッチ部分に水分を少しずつ含ませる方法はどうですか? 膣の出口の部分、つまりクロッチの中心部分から前後8㎝くらいの範囲を目安に5mLずつ水分を吸水させて、吸水量を計測することにしましょうか? その都度観察する感じで。

長谷川:そうですね。

 

<調査方法>

クロッチの中心部分(膣口に近い部分)に、1回につき5mLの水分を注射器で5分間隔で注入、経過観察を繰り返す。漏れまたはショーツが濡れたら、その時点で終了。
ちなみに一般的な経血量は一番多いとされる2日目で1日30mL〜50mL程度、過多月経の方で90mL程度。
※わかりやすいように着色した水を使用しています。



1回目、漏れないもののすでに違いが

まだどのブランドも余裕です。

片岡:では始めましょう! どのブランドもさすがに1回目で漏れてしまうことはないですね(笑)。

長谷川:ですよね。モレはありませんが、吸水の仕方はそれぞれ異なりますね。スっと入っていくものもあれば、表面で水滴が溜まってしまい、吸水するのが遅い印象のものも……。「ベア」と「ピリオド」は瞬時にスーッと入っていく感じ。まだまだいけそうですね。

生地によって吸水のスピードにも違いが。



2回目・3回目でずっしり感。ショーツにじわじわと変化が……


2回目スタート。吸水量は計10mLになります。ここで早速、変化が。

片岡:あれ、2回目でもう漏れていない?

長谷川:ん? 「ムーンパンツ」かな? 前の部分が漏れていますね。吸収体とショーツの縫い目から漏れているんだ。

 

片岡:「シンクス」も横から漏れていませんか?

 

長谷川:本当だ。いけるかな、と思ったけど漏れちゃいましたね。でも、そもそも吸水量の記載は両ブランドともに決して多くなかったので、生理の終わりかけなど少ない日、量の多い日やアクティブに動く日に穿くなら、ナプキンやタンポンとの併用がおすすめかも。

「シンクス」と「ムーンパンツ」はここで終了。残りは4ブランド。
3回目、4回目と順調に進んでいき、今度は5回目で水分量は25mLへ。



5回目の25mLで他のブランドにも変化が


片岡:クロッチ部分がどれもずっしりと重くなっているのがわかりますね。

長谷川:「ナギ」は結構、満タン感ありますね。あれ、「GU」は漏れていませんか?

「GU」はサイドの部分が濡れています。

片岡:ショーツに撥水加工をしているので気づかなかったけど、漏れていますね。サイドと前の吸収体の縫い目から漏れています。でも表示されている吸水量とほぼ同じですね。

GUは5回目で終了。残りは「ベア」「ピリオド」「ナギ」の3ブランド。
6回目、7回目の注入を終え、次は8回目。トータルの水分量は40mLに。



2日目の経血量に近い8回目、40mLでは……

縦にするとどのショーツもずっしりとした重さが。

長谷川:量の多い2日目でも平均的な方であれば30〜50mLと言われているので、この段階で2日目の平均値をクリアしていることになりますね。

片岡:40mLってかなりの量。3ブランドのショーツを持つと、漏れてはいないもののずっしり重いです(笑)。

長谷川:「ピリオド」と「ナギ」、敷いている紙が濡れていませんか?

「ナギ」は横から溢れてしまいました。
「ピリオド」はじんわり生地が濡れています。

片岡:本当だ。「ピリオド」はさりげなすぎて気づかなかった(笑)。これ、実際に穿いていたらパンツやスカートがじんわり濡れたって感じですね。
ちなみにボクサータイプの吸収体の前の部分が短いと、漏れるのも早いような気がします。「ベア」と比べると一目瞭然。前かがみで座る人、足を組んで座ることが多い人など、前漏れしやすい人は前側の吸収体が長いショーツのほうがおすすめかもしれません。

左が「ベア」、右が「ピリオド」。

長谷川:「ナギ」は横漏れから全体にじわじわと広がった感じですね。

「ピリオド」、「ナギ」は8回目で終了。

残りは「ベア」です。
9回目(計45mL)でじんわりと来ている感じはあるけど、まだいけそうだったので10回目以降もチャレンジ。結果、13回目で横漏れを確認。トータルで65mLを吸水したことになります。

「ベア」はここで終了。


片岡:「ベア」の吸水量は抜きん出ていますね。
表生地にはさらに撥水加工がしてあるので万が一吸収体から漏れてしてしまった時でも安心かも。

長谷川:もともと表示されている吸水量も一番多いですし、ショーツや吸収体の厚みも一番。「ベア」は初回から吸水するスピード感が他とは違っていたし、水分のホールド力も半端ない。安心感がありますね。


結果から勝手に総括!「自分が心地いいと思える機能で選んで」
 

片岡:実験結果を見ていかがでしたか?

長谷川:1日中外出していることもあるから、吸水量は多ければ多いほど、安心感はありますよね。注目すべきクロッチ部分の吸水量は「ベア」のサニタリーショーツが圧倒的でした。

片岡:クロッチ部分だけで65mLはすごいですよね。量の多い日や寝る時に使いたくなる理由がわかります。仕事でなかなかナプキンが交換できない人、月経過多の人でも安心ですね。

長谷川:個人的に気になっているのは「GU」。ショーツと吸収体もセパレートしているし、あとは横漏れ強化のみ(笑)。「GU」からボクサータイプが発売されたら試してみたいです。片岡さんが気になったアイテムは?

ショーツと吸収体がセパレートになっている形は洗濯もしやすい。

片岡:1枚を選ぶのは難しくて……生理1日目は「ナギ」、2日目や夜は「ベア」、量が少なくなる3日目以降は「シンクス」でしょうか。やっぱりおしゃれなデザインや色だと、「穿きたい!」って思えますよね。で、多い日は機能性と吸水力で「ベア」。ちなみに災害時の避難袋には「GU」を入れておきたいです。

長谷川:それぞれに特徴のあるショーツが登場しているので、デザインも色も選択肢が増えているのはいいですよね。まずは量の少ない日で試して、自分に合った使い方を探すことをおすすめしたいです。

片岡:確かに! 生理が終わる頃だったらナプキンよりショーツの方が絶対にラクですよ。ショーツだけで大丈夫ならこんなにありがたいことはないです。ゴミも減りますしね。

長谷川:決して吸水量が多いからいい、というわけではなくて、気候やライフスタイル、洋服、経血の量によって少ない薄い、おしゃれなデザインのショーツを使用しても良いと思うんです。要は「使いよう」ですね。

片岡:吸水型ショーツのポテンシャルはこれからもっと高まっていくはず。これからもっと良い商品が誕生すると思いますし、今後もしっかりチェックしていきたいですね。

撮影/嶋田礼奈(講談社)
文/長谷川真弓
構成/片岡千晶


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