子宮内膜症になる女性が増えているって本当?
→主に晩婚化による出産年齢の上昇に伴い、増加傾向にあります。


柳田:子宮内膜症の患者さんの数は増加しています。子宮内膜症は月経がある女性の10%に発症すると言われていて、なりやすい方には次のような特徴が挙げられます。

① 初経年齢が早い(日本人女性の初潮年齢:平均10~13歳)
② 出産歴がない
③ 閉経の年齢が遅い(日本人女性の閉経年齢:平均50~52歳)

ここからもわかる通り、子宮内膜症のリスクが高いのは生理の期間が長く、生理の回数が多い方。働く女性が増えて晩婚化が進んだ社会背景も、患者数の増加に大きく関係しています。逆に生理の回数が少ない人――たとえば、出産歴が多い方、経口避妊薬品(ピル)を使っている方、子宮の病気で子宮を摘出している方などは、子宮内膜症のリスクは低いとされます。

宮島:私は今年38歳ですが、初経年齢は9〜10歳ぐらいからと早めで、ピルも使っておらず、出産歴もありません。“生理期間が長く、生理回数が多い人”にもバッチリ当てはまりますね……。出産歴が関係するということは、私と同じように30代が多く10代は少ないなど、罹患する年齢に偏りがあったりするのでしょうか?

 

柳田:子宮内膜症は20〜30代の患者さんに多く、特に30代前半がピークになっています。生理を繰り返すことで少しずつ血流が溜まって症状が悪化するので、年齢とともに発症しやすくなるんですね。そうした意味でも、宮島さんがおっしゃるように10代で子宮内膜症の診断がつく方は多くありません。また、加齢によって女性ホルモンの分泌が減少する30代後半以降の年代も、患者数は減っていきます。

宮島:子宮内膜症の患者さんの数は、どのくらいになるんでしょうか。生理痛が重い予備軍とされる方たちも含めると、相当多いような気もするのですが……。

 

柳田:子宮内膜症の患者数は260万人ほどで、そのうち治療が行われているのは10%程度。患者数に比べて、治療されている方がまだまだ少ないのが現状です。さらに、月経困難症を訴える方は800万人いると言われています。その中には子宮内膜症に気づいていない方もいらっしゃるでしょうし、子宮内膜症かなと思っても、何もせずに様子を見ているという方も少なくないんですよね。

宮島:“生理痛ぐらいで仕事に穴は空けられない”と考えて、つらくても無理をしている女性はたくさんいらっしゃると思うんです。私もそうでした。でも、発症した時の激痛を味わってみて、生理の痛みを我慢する、看過することは恐ろしいことなんだと身をもって感じました。

柳田:子宮内膜症は「痛み」はもちろんですが、より深刻な「不妊」や「卵巣がん」にも関わってきます。仕事が忙しい働き盛りの年代が発症しやすい病気ですから、「いつもと違うな」と思ったら、迷わず婦人科にいらしていただきたいですね。


柳田聡 Satoshi Yanagida
東京国際大堀病院 婦人科 副部長。医学博士。東京慈恵会医科大学 産婦人科医、講師を経て現職へ。婦人科腫瘍・女性医学が専門。根拠と優しさをモットーに、女性のライフステージに合った診療を心がけ、患者一人ひとりと向き合う。

宮島咲良 Sakura Miyajima
1983年11月9日生まれ。東京都出身。ワタナベエンターテインメント所属。大学卒業後の2007年、アナウンサーとして九州朝日放送に入社。2010年に同社を退社し、フリーアナウンサーに転身。また、アナウンサーの枠を超えて幅広く活躍。2011年に『ザ・デッド・エンド』で舞台に初出演。2014年には、テレビアニメ「くつだる。」のテーマ曲で歌手デビューを果たす。戦隊もののファンで、スーパー戦隊シリーズ「手裏剣戦隊ニンニンジャー」の挿入歌なども担当した。現在は、BS11「BSイレブン競馬中継」、ニッポン放送「天野ひろゆき ルート930」、MBSラジオ「増田貴久・中丸雄一のますまるラジオ」など幅広く出演中。
Twitter:宮島咲良=ぼっち戦隊ミヤジマン(@sakura1109m
Instagram(sakura_miyajiman


撮影/塚田亮平
取材・文/金澤英恵
構成/山崎恵

 

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