バブル時代、VIP待遇を得るための秘密


ー本の中には、甘糟さんのように愉快なお友だちもたくさん登場しますよね。

「あの頃、たいていの大学生は遊ぶことばかり考えていたんじゃないかな。あちこちに『シーズンスポーツ』のサークルがたくさんあったんですが、一つのスポーツに打ち込むわけではなく、夏はマリンスポーツ、冬はスキー、春や秋はテニスやゴルフ、夜はディスコでパーティーという感じで。

パーティーを企画する学生企業もいろいろありましたね。“女子大生を〇〇人集められます!”と企業にプレゼンすると資金をドンと出してくれるんです。企業もお金が余っている時代でした。私もうかれて、頭に羽をつけたりしてパーティーに行ってました。今見ると、ダサ過ぎて言葉が出ません…」

「恥ずかしいから、この羽を消したい」と甘糟さんは仰いました。

ーそうして沢山遊んでいるうちに、ディスコやパーティーは「顔パス」になったんでしょうか?

「バブル時代にさしかかる頃、雑誌の仕事を始めたのもありますね。チャラくて派手なうえに、メディアに出入りしてるとなると......、鬼に金棒。人気ディスコの行列をすっ飛ばすために、雑誌名を使ったりね。我ながら卑怯者だなあ。雑誌というメディアが今よりもっと影響力があった時代でした」

 


洋服も好き、レストランも好き、チャラいことは全部好きでした

まずはウェアにお金をかけるのが当時のスキースタイル

ーこちらスキーの写真。凄く気になったのですが、髪の毛は下ろして滑ってるんですか? 邪魔じゃないですか……?

「髪は下ろしたままですよ。だってスキーしに行っているわけじゃなくて、自分たちを見せびらかしたいだけですから。吹雪いてゴーグルが必要になったら、カフェテラスでお茶していたのでこれで問題ありませんでした」

ーなるほど、さすがです。ファッションへの意気込みというか、熱量が凄いですね。

「あの頃、授業中でも教科書の下にファッション雑誌をおいていたぐらい。おしゃれであることが何よりのアイデンティティだったんです。

今だと、気の利いたファストファッションがいっぱいあって、その気になればすぐにそれなりの格好ができるから、逆に情熱もわかないんじゃないでしょうか。当時はファッショナブルな服自体が少なかったし、そういう服はだいたい高価で、ブティックといわれたお店も入りにくい雰囲気だった。だからこそ、みんな熱中したんだと思います」

ーMOGA、JUNKO SHIMADA、ALPHA CUBIC、グイードパスクワーリにラネロッシなど……写真の洋服はブランド物ばかりだそうですが、やはりお洋服が一番好きでしたか?

「洋服も好き、レストランも好き、もちろんディスコも好き、チャラいことは全部好きでした!」