婚活がただ“苦手”だっただけ。私は悪くない

 

「自分をよく見せるために、偽りの自己PRをしたり、必要以上に飾ったりするのが苦手なんです。

恋愛も結婚も、ありのままの自分を受け入れてほしいという思いがあるので、巷でよく見かける恋愛や婚活のハウトゥーみたいなものにも違和感を抱いていました。だけど、こんな考えは甘いですよね(笑)たぶん私は婚活にはあまり向いていないのかもしれません。今までずっと無理をしてきたんだと気づきました」

亜里沙さんの言いたいことは、とてもよく理解できる気がします。

多くの人がそうだったと思いますが、10代、20代の頃は、自然に誰かと出会って結婚できるものだと信じていました。もちろんスムーズに結婚する人もいると思いますが、婚活に苦戦する人が多いのが現実。ここまで大変だとは、かつては想像もしていなかったです。

結婚相談所など婚活のために多額のお金を使う人もいますし、最近は幸せな結婚をするためのメソッドを学ぶ場所や、情報収集のツールもどんどん増えています。努力なしでは結婚に辿り着きにくい時代になってしまいました。

「結婚相談所に入会したのも親の希望、マッチングアプリも友達に説得されたのがきっかけ。心のどこかで義務感みたいなものに苦しめられていました。結局、誰かに背中を押されてしぶしぶやっているような婚活って自分も楽しくないし、いい結果にも結びつかないと思います。

私の場合は、婚活をすればするほど自信を失っていくので、さらに悪循環。だから一度婚活をやめて自分を解放してあげることにしました。結婚をしないと決めたわけではありませんが、婚活は卒業したんです」

 

「出産」は、自分にとってマストではない


ただ、この1年で亜里沙さんの頭を悩ませたのは、子供を産みたいかどうかという問題でした。

「子供はいつか欲しいなと思いながら今まで生きてきたからこそ、結婚を焦った時期もありました。周りの友人を見ていても、結婚相手がどうこうよりも“子供を産むこと”を優先事項にして結婚した知人もいますし、結婚前から妊活をする友人もいます。

私はどうかというと、好きな人と結婚して子供がいる未来をただ漠然と考えていたのであって、子供を産むことが何より優先ではないという気持ちに気付きました。

昔から心のどこかで『いつかは出産しないといけない』という義務感を刷り込まれていたのかもしれません。最近は、子供がいる友人から愚痴や悩みを聞くことも多く、人は結局どういうステージにいても常に何かに悩まされるんだと思いました。だからいろんな人生があっていいかなって。私にとって出産はマストではありません。婚活から自分を解放したように、出産への義務感からも自分を解放したんです」

流れに身を任せてみようと決めてからは、気持ちがずいぶん楽になったと話す亜里沙さん。現在は、悩みはないのでしょうか?

「今でも他人の言葉で多少傷つくことはありますね。男女問わず、よく独身の人について話している時に『あの人って独身だよね、何か問題があるのかな?』というような会話を耳にしますが、心外です(笑)。

もちろん人間なので欠点はありますが、それは結婚していても結婚していなくても同じ。たまたま結婚のチャンスに巡り会えず時間が経ってしまった、という私のような人は多いので、欠陥扱いしないでほしいです」

古い価値観を押し付けてくる人は、まだまだ多いでしょう。

でも「婚活をやめてからは、前よりも自分らしくいられるようになった」と笑顔で語る亜里沙さんを見ていると、他人の意見はどうでもいいのだと心から感じます。

これからは多様性の時代だと言われていますが、亜里沙さんのように「婚活、やめました」という選択肢もいつか一般化していくのかもしれません。

構成/山本理沙

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