東京五輪・パラリンピック組織委員会の武藤敏郎事務総長(左)と橋本聖子会長。開幕直前に相次いだ辞任・解任劇に、組織委員会の責任を問う声も大きい。写真は6月当時。写真:代表撮影/ロイター/アフロ

具体的にどんな間違いを起こしてしまったのか。それはどのような文脈で、何故起こしてしまったのか。そこから何について反省をして、何を学んで、今はどのような活動をしているのか。傷つけてしまった相手が具体的にいるとすれば、その当事者にはどのような謝罪を行ったのか。

 

これをきちんと説明する場を作る。ご自身のサイト上での公式な見解でもいいかもしれませんが、できれば説明をする場には、客観的な立場からの聞き役としてメディアが介在したほうがいいと思います。記者会見というのは、つるし上げにする場ではなく、一種の「禊」的な役割があると思います。そこでツッコミどころを残さないように質問者もきちんと聞くことが必要ですが、特定の媒体で取材を受けるでもいいかもしれません。とにかく追及と弁明の場があること。

もちろん謝罪や会見さえすれば解決するというわけではないと思います。特定の被害者がいる場合、加害者がメディアに出ることでトラウマを喚起するようなこともあるでしょうし、タレントのようにイメージ重視の仕事では難しい、などの判断もあり得ると思います。

また、何をしても批判し続ける人はいます。でも、ネット上の追及が燃え上がり拡散するのは、その言動に怒りを感じる人たちが「世間には十分知られていない」と思うからこそ、という面もあると思うのです。

公的に一回説明をし、その後、直接の謝罪等のやりとりは当事者同士に任せるとして、少なくとも一旦、憶測等を含むネット上の議論を終わらせる。

そのように前に進めることができないでしょうか。そこにメディアの介在価値もあると思いますし、今回のことでいえば、組織委員会がもしも事前にこのような準備ができていたら、辞任や解任をしなくて済んだケースもあったのではないでしょうか。

東京五輪については、今回の辞任・解任騒動に加え、もっと重大な論点として、パラリンピック終了にいたるまで果たして続けるべきなのか。そして終了してからも、コロナ対策や、開催の判断が正しかったのか、そもそも招致できる能力があったと言えるのかなど厳しく検証をする必要があると思います。

ただ批判をする側も、ではどうしたらよかったのか、それが政治家であれば次の選挙では何を見るべきなのか。前向きに変えていく議論をしていきたいものです。
 

前回記事「娘に読み聞かせをして気付いた「普通の歴史漫画に女性が極端に少ない」こと」はこちら>>

 
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