Q. ワクチンを接種することで、子どもの将来になにかある可能性はあるのでしょうか?特に不妊の可能性が心配です。


基本的には将来への心配は不要だと考えられています。もちろん可能性をゼロと言い切るのは難しいですが、それはどんな物事でも同じです。例えば、新しく用いられ始めた食品添加物や携帯電話が将来どのような影響をもたらすのかわかっていないのと同様です。

 

ただ、分かっていることもあります。まず、ワクチンの有効成分であるmRNAは2〜3日以内には体から分解されてなくなることが分かっています(参考文献4)。また、mRNAのレシピから作られたスパイクタンパク質は、2〜3週間で壊されてなくなることが分かっています(参考文献4)。これらのことから、ワクチンの成分がこの期間より後に副反応を出す可能性はまずないと考えることができます。また、長く残る影響として、ワクチンに反応してできた免疫のことを考えなくてはなりませんが、これが遅れて副反応を出すかについては、過去のワクチンのデータが参考になります。免疫を獲得するという点で共通しているからです。そして、過去のワクチンにはすでに何十年という使用の歴史がありますが、幸い6週間を超えて副反応が報告されたケースはありません(参考文献5)

これらの理由から、ワクチンが6週間を超えて副反応を出す可能性は極めて低いと考えられています。だからこそ、臨床試験での安全性の確認も少し余裕を持たせて2ヵ月間という期間で行われました。その上で見られた副反応が、現在知られたような副反応です。

現在はすでに接種後半年や1年を経過した人も出てきていますが、そういった人からも遅れた副反応というのは報告されていません。

また、特に不妊がご不安だとのことですが、そもそも不妊を起こすという情報が全く根拠のないところから生まれた偽情報です。加えて、これまでにワクチンが精子(参考文献6)や卵巣(参考文献7)へもたらす影響を調べた研究もありますが、偽情報のような影響が見られないことも確認されてきています。